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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界65








身体の感覚が戻ってきている。
自分で、そうはっきりわかるぐらい。
ほら、手の平が温かくて、光の中でもその向こう側がしっかり見える。

―――…私が『私』を取り戻したから。

私の名前は、フェイト。
私は、能力者の人を救うなんてできない。
だってそれは、あの人が悲しむ事だから。
こんなの…――ナノハは望まない。
私だって、こんなの間違ってるって思うから。
だから…!


「何故だ…!何故、細胞分解が上手くいかない!」
「博士…落ち着いてください…っ」
「うるさい!」
「!? ノーヴェ…っ」


バン、と誰かが弾き飛ばされる音に、私はハっとして視線を向ける。
そこには、スカリエッティ博士に腕を振り払われて倒れこんでいるノーヴェ。
当たった場所が悪かったのか、口を切ってしまったみたいで血が出てる…っ。
なんてことを…っ。


駆け寄ったウェンディは、大丈夫だと頷いているノーヴェを支えるように身体を起こして…それから、信じられないっていう目でスカリエッティ博士を見上げた。
でも、キーボードに向かっている博士は、それに気づかない。
まるで何かに取り憑かれたように、キーを弾いてる。


「博士…」
「…なんだ、今忙しい」
「…………」


乱暴に突き放すような言葉に、一度ウェンディはうな垂れる。
伏せられた瞼が、苦しげに震えていた。
それは搾り出されるような言葉も…。


「これが…本当にこれが、私達が救われる道なんですか…!」

沈黙。
カタカタとキーを弾いていく音だけが部屋に響いていく。

きっと、彼女達には、力強く頷いてくれる博士がその先にいたんだろう。
振り返って『その通りだ』なんて微笑んでくれるような、そんな。
でも。
でも…―――博士から放たれた言葉は違っていた。


溜息混じりに

「今更何を言うんだ」

私の記憶にもある、あの嫌らしい笑みをその顔に張り付けた

「彼女の能力があれば…」

エゴイストがそこにいた。

「すべてが私の思い通りになるんだ。私は私のやりたいようにする。その中に、君たちを救う選択肢がもしかしたら入ってるかもな」

「そん…な…」

崩れ落ちていくウェンディ。
ノーヴェも、何も言わずにぐっと顔を伏して。
その姿に私は居たたまれなくなる。

願っても叶う可能性の低い望み。
それでも、彼女達は最後に博士へすべてを託したんだ。
今思い出してみてわかる、彼女達の行動。
まるで余裕なんかなくって、必死になって、私を手に入れようとがむしゃらになって。

そして一つの希望をその手に掴んだはずなのに。
それなのに…――今、手の平から零れ落ちてしまった。

「博士…」
「…なんだ」
「もう、やめましょう?」
「は?」

フラフラと立ち上がるノーヴェ。
その声は、とてもうつろで…全てに絶望していた。

「こんなの…間違ってます。人の生き死にを左右させるのが同じ人間なんてそんな考え自体が間違ってたんです…」
「何を訳のわからない事を。降りるなら、勝手に降りろ」

ハン、と鼻で一笑しながらも、博士の手は止まらない。
確実に、じわじわと私をとらえようとしている。
いつ自分が消えてしまうかわからない状況だけど、私は彼女達から
目が離せなかった。


「…彼女を解放してあげてください」
「…嫌だと言ったら?」
「…無理にでも」


ノーヴェの瞳が生気を取り戻していくのがわかった。
すぐ後ろで、すっくと立ち上がったウェンディも。
そこで一瞬、二人が私の方を仰ぎ見た。

―――…助けるから。

そう言うみたいに。
でも。

「そうか、なら仕方ない。私はやめるつもりはないのでね。」

まるでスローモーションを見ているみたいだった。

静かに博士が胸元に手を入れて。
何かを取り出す。
黒い…光る何かを。
その形を私達が確認する前に…。

パン! パン!

乾いた音が、響き渡った。







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  1. 2017/06/03(土) 00:00:00|
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