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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界64






「これは…」
「想像以上に…」
「凄いですね…」

はやてちゃんや、フローリアン姉妹が苦笑混じりの言葉が漏れる。
その視線の先を見て、私も「確かに…」と呟いてしまった。

まるで嵐。
建物の上空を渦巻いている雲は、時折激しい光を放っていて。
暴風は、建物に近づこうとする者を容赦なく打ちのめすような勢い。
離れた場所から眺めている私達にも、その威圧感は届いている。

「これ、どうやって中に進入するの?」
「簡単だよ。我々は堂々と、入り口からお邪魔するだけだ。」


にかっと笑ったグランツ博士はやてちゃんに頼むよと一言。
思わず首を傾げる。
それから、はやてちゃんは私に任しとき、と言うと、


「さぁ、出番やよ!好きなように引っかき回したって。」
「「「「了解!」」」」


返事をして、すぐに駆け出す四人の守護騎士達。
きっと、そのまま建物の中に流れ込んでいくんだろう。
私達はその騒ぎの間にってことか…。


「大丈夫、あの子達なら。ナノハちゃんはフェイトちゃんの事を考えてあげてな?」
「…うん」

はやてちゃん…。
なんだろう?
いつも私の不安なんかにすぐに感づいて。
元気付けてくれて…。

―――…ありがとう。本当にはやてちゃんには守られっぱなしだな。


「どないしたん?」
「なんでもない」

フっと笑って、私は首を振る。
そう、きっと、はやてちゃんにはいち早くバレてしまう。
でも、その時は今じゃない。
もう少し、このままで…。


「よし!それじゃあ僕たちも行こうか。キミの言ったルートを信じるよ?」
「……。」

ぐしゃぐしゃっと、縄で拘束されたウーノの頭をグランツ博士が乱暴にかき乱す。
迷惑そうな顔をしたけれど、もう歯向かって噛み付いてくることはなかった。

「いいですか?」
「いつでも」

はやてちゃんがグランツ博士に振り返る。
気を引き締める。

きっと…これが最後。
こうやって、一体感を感じられるのは『仲間』の存在がどれほど大きいものなのか判ったから。
この仲間達なら…あとは任せられる。
そんな事を考えてしまって、口元が緩んでしまったっけ。


「行こか、ナノハちゃん!」
「うん!」

声が響いた瞬間。
建物の上空を覆っていた雲が、凄まじい轟音を立て始めた。
まるで建物への侵入を拒んでいるかのように。
乱雲の中で狂ったように音を立てる雷。
そして、ポツポツと降り始める雨。


「さぁ、行こうか…!」
『了解!』

グランツ博士の声を合図に、私達は一斉に駆け出した。
と、その時。

「ねぇ!」

呼び止められて振り返ると、じっと私を見据えているウーノ。


「なに?」
「…あなたにとって、幸せって何?」

頼りない目だった。
行き場をなくした気持ちが、救いを求めるみたいな、そんな。
でも私は神様でもなんでもない。
ちっぽけな…人間にもなりえない『ヴァンパイア』だ。
だから、彼女達に救いの言葉はかけてあげられない。

でも。
こんな私でも見つけられた、たくさんある答えの中の1つなら教えてあげられる。
それは…


「この世界に生まれてこれたことだよ」


あのコのいる、この世界に生まれてこれた幸せ。
そう、それが私の幸せの形。

「この世界に…」

曖昧な表情で言葉を受け止めている彼女に私は一度笑って、みんなを追いかけるように駆け出していった。

きっと彼女には消化不良な形。
だけど、いつかわかってほしいと思う。
今、こうして生きているから、悩んで苦しんで、そして一つの答えを選ぶことができるんだって。
そしてそれは、どんな形でも『幸せ』に繋がっているから。



**********



中に入ると、先に撹乱させるために侵入していった、守護騎士達によって
研究員達はほとんど戦意を消失していた。
当然の結果なのかもしれない。
所々、真っ白になってしまっている通路があったのは、きっと武器の無いこの研究所の中で、消火剤などをぶちまけたりしたからなんだろう。

奇襲をかけただけあって、ここはスピード勝負。
それを考えると、守護騎士を感づかれるより先に送り込んだのは正解だったみたい。

「さすが、はやてちゃん率いる守護騎士のみんなは頼りになるね」
「当然だ」
「えっ?」

突然帰ってきた返事に、驚いて振り返る。
そこに現れたのは、シグナムさんだった。

「ほぼ全て制圧した。私はこれから制御室へ博士達を案内する。お前達は建物の中心部を目指せ」

事務的なシグナムさんの言葉に、はやてちゃんが嬉しそうに『ヒュー』と口笛を吹いて拍手を二、三回する。
鮮やか過ぎるほどの行動だったから。


「ありがとうな」
「いえ、主の命あらば。ヴィータ達が、残りを制圧しているが時間の問題です。気にせず進んで下さい。」
「了解」

返事を返すと、彼女は深く一礼して博士達の元へと歩み寄る。
本当、隙がないというか真面目というか。
ふと、そう思ったっけ。
と、その時。

「危ない!」
「!?」
「うあぁぁッ!」

突然の声に振り返る。
そこには、恐ろしい形相をしながら鉄パイプを振りかざして向かってくる研究員。
恐怖に我をなくしてしまったのか、狂気と喜悦に満ちた目で私を捉えてる。
とっさのことに判断が遅れて、身構えた瞬間


「ぐぅっ!?」

バタン!!

奇妙なうめき声を上げて、研究員は地面に叩きつけられた。
それでも、まだ狂おしい怒りに目を爛々とさせて私を睨みつけている。
けれど、そこに、間髪いれず誰かの手刀が頭部にくりだされたんだ。
今度こそ沈黙する研究員。

「大丈夫ですか?」


軽く息をついて、私は声の主に笑みを向ける。
私の危機を救ってくれたのは、小さな少女…スバルにティアと呼ばれた二人だったんだ。

「ありがとう。助かったよ。」
「いえ。」

嬉しそうに笑顔を見せるスバルと、そ知らぬ顔をしてみせるティア。

「スバルの身体能力は素晴らしいんです。」
「ティアナは視力が凄いのよね。」


なるほど。
フローリアン姉妹の言葉に合点がいった。
倒れた研究員の側に落ちているのはこの状況がで出来上がった瓦礫。
目標に確実にヒットさせたのであろう。
そして身体能力の高い彼女がとどめっと。

というか、ティアじゃなくてティアナだったんだ。
今更の事実に可笑しく感じて、私は思わず噴出した。
その姿を見て、驚いてこちらを見る二人の少女。


優しい目を持った二人の頭を、感謝の気持ちを込めてそっと撫でる。
きっと大丈夫。
こんな優しい子達がいるんだ、…あのコを守ってくれる。
先の心配なんて何も要らない。

「ナノハちゃん、行くよ。」
「うん」

はやてちゃんの呼びかけに、私は頷いて廊下を駆け出した。
この建物の中心部を目指して。







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  1. 2017/05/27(土) 00:00:00|
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