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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界61





空がずっとずっと高くて。
もう、春の陽は暖かくて―――風が頬を優しく撫でていく。
この一瞬一瞬を、私は忘れないように瞼に焼き付ける。

「フェイトちゃん…」

あのコにとって、私は…そう、終わりのない物語のページをめくる風でいい。

あのコの髪を…あのコの夢を、そっと揺らす風になりたい。
淋しいとき、微笑むとき、胸の中にはいつも私がいたい。

人とヴァンパイアである以上、いや、何よりそれはもう、この姿では叶わないけれど。
でも、一緒にいられる方法を私は知ってるから…。
だから…。

「助けに、行くよ」

スっと、その手に持ったマントを羽織り、一度大きく息を吸い込む。
色々あったなぁ…なんて感慨深く感じながら。

「…おい!ナノハ?そろそろ時間だぞ?」
「うん、わかってるよ」

ヴィータちゃんの声を背中に受けて、私は頷く。
そして、中庭の景色をもう一度だけ見渡して…踵を返した。

さぁ、行こう。
あのコが待ってるから。


**********


「では、もう一度説明するよ?」

集まった私達は、グランツ博士の声にじっと耳を傾ける。
主力メンバー全員が集まっているだけあって、ちょっと息苦しいけれど。

「君たちヴァンパイア組がいわゆる『突撃班』。ウーノが言った建物の中心部分の実験場に向かってくれ」
「りょーかい」

はやてちゃんの間延びした返事。
でも、その目はいつもより緊張を含んでいる。

「それから、アミタにキリエは、電力をシステムダウンさせるために制御室へ。研究員たちを撹乱させル事も忘れずに」
「わかった」
「了解です」

キリエがいれば、電力カットとかは大丈夫そう。
最悪「わかんないわよ!」とか言って機械そのものを破壊しそうだし、ね…。
ふと、視線が交わったアミタさんが、ブっと一度噴出した。
内緒だよ、と私も軽く笑う。

「私達は、システムダウンと同時に中に入ってハッキングかけます」
「あ、あのっ!」
「うん?」

そこまで、黙って部屋の隅で聞いていた一人の女の子が、突然声を上げた。
真剣なグランツ博士の瞳は、ちょっと鋭すぎたみたいで、一歩後ずさってしまったみたい。
でも、それでもきゅっと一度口を結んで、もう一人の女の子と手を繋いで私達に歩み寄ってきたんだ。

「わ、私達も、何か手伝わせてくださいっ」
「んー? スバル達に?」
「は、はい…っ、私達だって何かしたいんですっ。みんなが頑張るのに…その…」
「うーん…」

ふと思い出す。
この子達、ケンカしていた二人だ。
仲良く手を繋いでいる姿を見る限り、仲直り…というか博士の策は成功しているみたい。

そんな博士を見やると、一度顎に手を当てて考え込んでしまっている。
意志は尊重してあげたいけど…というような難しい視線。
と、そこに、キリエがちょっと笑みを浮かべて肩にもたれ掛かってきて。

「でもさぁ、ホラ、軽い気持ちで手伝ったりして足手まといとかになったらねぇ~」

でも、二人が手伝いたいというのなら…。
幼いといえど、仮にも力を持っているんだし。
『いいんじゃないかな?』といいかけた瞬間、


「スバルは、いい加減な気持ちで手伝ったりしませんよ!」
「てぃ、ティア…?」
「スバルが、なんでも一生懸命にする姿も知らないで勝手な事言わないでください!」

ティアと呼ばれた彼女の凄い剣幕に、一瞬誰もが言葉を失う。
キリエなんて、目を白黒させてポカンとしてしまってるし。
それでも、さすがにこの状況はマズいと思ったみたいで。

「や、いや、ごめん…そういうつもりで言ったんじゃ…」

狼狽しながらも、彼女に謝ってみせた。
それでも憤慨したみたいにそっぽを向く彼女に、アタシは思わず頬が緩んでしまう。
そのキモチを知らないワケでもないから。

「ねぇ」
「…はい」

頬を膨らませてる彼女に、私は軽く頭を撫でてる。
それから、できるだけ優しく伝える。

「本気で言ったんじゃないよ。ただ、二人がもしも危険に巻き込まれたら…って心配して、わざと言ったんだよ」
「え…」

ぱっと顔をあげる彼女に、キリエは「あーいや…まーえっと…」と困った笑顔を向けていた。
そう、みんな、こんな時だからこそ、相手を思いやってるんだ。

「あ、生意気言って…すいませんでした…」
「気にしないで。うん、私も言い方が悪かったから」

素直に謝る姿に、みんながホっとする。
それから、その様子をじっと見ていたグランツ博士がポン、と軽く手を叩いたんだ。

「じゃあ…二人は僕のアシストとして一緒に行こうか?」
「え…? いいんですかっ?」
「いいんですか?って、『是非つれてってください』って顔してるじゃないか」

軽い突っ込みに、スバルは『エヘヘ』と嬉しそうに笑って返して。
ちょっとの不安はあるけれど、まぁ…博士が一緒なら大丈夫だろう…。
隣に居る彼女も、嬉しそうだしね。


「よし…、では…行こうか」
『…了解』

全員の声が重なる。



室内にけたたましいアラート音が響いたのはそんな時だった。







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  1. 2017/05/06(土) 00:00:00|
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