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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界59









気づいたときには、真っ白な世界が目の前に広がっていて…。
頭の中が、ぼうっとする。
なんだか…全てが霞がかってきているような、意識が溶け込んでしまうような…。
次第に、意識の輪郭がなくなって…どこに自分がいるのか…。
判らなくなって…きてる…。

そのまま…――瞼が、ゆっくりと落ちていく。

…そうだ…、そうすれば…もう何も見なくて済むんだ…。
嫌な思いをすることもなくなるんだ…。

なんだか、ここは…悲しみに満ち溢れた、白い空間で…。
たくさんの人の涙が、ここを作り出しているような、そんな気がする。
同じ想いをしないように、守るように…。

でも…私は…。

―――…私は、その悲しみを、もう知っている。
そして…その悲しみを、あの人にも…与えてしまった。

あの人…そう…大好きな…失いたくない…。




―――…誰、だった?




「…、…か?、聞こえるか?」

どこからか聞こえた私を呼ぶ声に、瞼をもう一度開く。
白い光に包まれながらも、視線の先に見知った顔を見つけて微笑む。

「二人とも…それに博士まで」

スカリエッティは私の返事に頷いてる。

「調子はどうだ?」
「悪くないです」
「そうか。明日の朝には、「分解」が始まる」
「うん」
「そうしたら……その力を貸してくれるかね?」
「もちろん。それで悲しむ人達を助けられるなら」

答えて、私は今の状況を確かめる。

大きな筒状のガラスの装置に入っている一糸纏わない私。
白い光が、優しく包み込んでくれていて…心が落ち着く。
その前に、私には知りえない大きな機械。
スカリエッティが開発したらしいもの。

明日、私はここで…―――肉体を脱ぎ去る。
でも、恐怖はない。
だって私は魂だけの存在になって、その力を人のために活かすんだから。
私一人の意識で、たくさんの人が救われる、そう考えれば全然怖くない。

そう、能力者が救われる。
スカリエッティ達が、教えてくれた。
今まで、どれだけの能力者の人たちが蔑まれてきたのか。
それを救う為にも私の力が必要らしい。
きっと私もそんな差別に逢ってきたんだろうけど…記憶がない。
でも、そんな私によくしてくれたみんなの為にも…私は喜んで『私』を差し出す。

不思議なのは、ノーヴェやウェンディ。
スカリエッティのその方針に、何度も『これでいいんですか?』って訊ねたりして。
それに私の事を不思議な名前で呼んだりするんだ。

私には、そんな名前なんてないのに。
被験者番号しかないのに…。

「キミの素粒子の力は特殊な物でな…心で思ったことが何らかの形で現実を動かす可能性がある」
「うん」
「その可能性に、私はかけてみたい。能力者にとって苦しみのない世界を…作りたい」
「うん」
「…わかって、くれるな?」
「うん」

確認するようにスカリエッティが話してくる。
うん、私も判ってる。
その考えも間違ってないと思う。
私一人が、身体を差し出せば全て上手くいくはずなんだ。
だったら…私は、



『…――――フェイトちゃん』


…っ!?
な、なんだろう…?
今、誰かの声が、耳に届いた…。

フェイト?
フェイトって?

誰? 今のは誰の声…?
初めて聴くはずなのに、酷く懐かしい気持ちになる。
そして…胸が締め付けられるような切なさが…広がって…。


「どうした?」
「っ、なんでもない、大丈夫」
「そうか? なら良い。では、明日一番で始める」
「うん」

それだけ告げて、スカリエッティは部屋を出て行った。
ノーヴェとウェンディも、不安げに何度も私に振り返りつつ。

残された私は奇妙な感覚に、首を傾げる。
なんだったんだろう、一瞬距離感を失うほど真っ白だった空間が薄れた気がする。
誰かの声が、耳に届いて…。

私は…――その声の主を知ってる…?
判らない…、でも大切な何かを落としてしまったような…
不思議な喪失感が胸に広がって…。





そのまま私は、意味の判らない不安に包まれながら…眠りについたんだ。
ただ、真っ白な光だけが私を照らし続けていたっけ…。








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  1. 2017/04/22(土) 00:00:00|
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