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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界57








―――…光の中に、私はいた。ううん、私達は。

目の前では、一糸纏わない姿で泣きじゃくっているあのコがいる。
『やだ…っ』と何度も叫びながら、アタシにすがりつくようにしているあのコが。
でも、私の決心は揺らがない。

『どこにもいかないよ。私はフェイトちゃんの中にいるから』

自然と動く唇からは、そんな言葉が紡ぎだされる。
自分の身体に起こる変化を感じながら。

その様子をどこか客観的に見ている自分がいた。
だって、これは夢なんだと知っているから。
そう、もう何度となく見た夢。…きっとそのつづき。


―――…そうか…そうなんだ…。

妙に納得している自分がいる。
もう、この状況になんの疑問もなかったから。
すべてが、…理解できたから。

これは、…そう、夢であって夢じゃない。
きっと、私とあのコ…フェイトちゃんの…―――。

でも、不思議。
夢から覚める瞬間、何故か全てを受け入れられるような、静かな気持ちで。

それで…いいのかもな、って。
そういうのも、一つの約束の形なのかな、って…そう思えたんだ。



何度目かの、白い天井を見つめながら目覚めた。

調子は、かなりいい。
夢の残光に振り回されることもなく。
今まで中で、きっと一番と言っていいほど。

ぼんやりと起き上がりながら、理由の一つに気づく。
全身の至る所にあった包帯が、まったくなくなっていたんだ。
当然傷だってない。
そう、フェイトちゃんからもらった傷が…完治したんだ。

確かめるみたいに、腕を曲げたり伸ばしたりしてみる。
うん…、もう身体も自由に動く。
これなら、いつだって…。

「起きた?」
「? あっ、うん」

ベッドから起き上がろうとした私に、部屋に入ってきた二人が目を丸くする。

「ま、まだ、ダメですよぉっ、ナノハさん、すっごくケガしてたんですよ!?」
「もう治ったし」
「でも、二日間も死んだみたいに眠ってましたし…」
「二日間…っ? そんなに?」

ほらほら、なんて身体をベッドに押し戻されながら私は記憶を辿っていく。
フェイトちゃんがいなくなって、研究所を飛び出して…そして…聞かされた現実。
はやてちゃんとザフィーラが止めて……。……アミタさん達が駆けつけて…。
あのパンチか。
アミタさんの横でへらへらと笑う顔を見やる。
ちょっと、ムっとくるかも。

「はいっ、食事」
「え?」

ボスン、と私がベッドに戻ると同時に笑顔のままにキリエは膝にトレイを押し付けてきた。
ガチャンと音を立てて、目の前に広がる食事に……一瞬固まった。

「えっと…?これ、誰が作ったの?」
「私が忙しかったので、キリエが代わりに作ってくれたみたいです…。」
「……へぇ」
「私の料理なんて滅多に食べれる機会なんてないんだから。ありがたく頂きなさいよね。」

……ふぅん…、それはいいんだけど。
どうしよう、警告音が頭の中に鳴り響いてる。
視線はトレイに並べられた『それら』から離れない。

多分、魚を焼いたんだと思うけど…黒い炭の塊になってしまってるし…。
ご飯は、水分を含みすぎてて、粒がなくなってしまってるし…。
一番目を見張ったものは、デザート。
なんだろう…? これはもう…食べ物ではないような…そんな色してるし…。

ふと見ると、アミタさんが『うわぁ…』って感じの不安そうな顔をして。
『やめておいたほうがいいと思います』って、その目が言ってる。
私も…そう思う…。
けどさ…

「私の自信作っ! さぁっ!」

自信満々に、けれどキラキラした純粋な目が…痛い。
これは…やっぱ、食べなきゃ…マズイよね…。

「…いただきます」

おもむろにお箸を手にとって…、とりあえず炭の塊…じゃなかった、
焼き魚を掴む。…途端にボロボロと崩れるけれど、なんとか一かけらだけでも。
それから…震える手で…口の中へ。

「………」
「どう?」
「………」

う、うん…、えっと…まぁ…。
コメントに困る私に、アミタさんの『頑張ってください』という視線。
なんで、こんな目に…。

「う、うん、なんだろう、パサッとした新食感と魚以上の苦味が独創的だね」
「当然よ!私が作ったんだから。」

いや、褒めてないんだけど。
彼女って…意外と強者かもしれない…。

「さぁ、どんどん食べて」
「あ、その前に…」

流石に、もう無理。
思わず箸を投げ出してしまったし。
困ったみたいにアミタさんが差し出してくれた水を飲んで口直し。

とりあえずこの2日間の状況を聞かなきゃ。
じゃないと、動きようがない。

「この二日間で、何か変わったことは?」
「二日間でですか? 何かありましたっけ、キリエ?」
「えっと…」

この姉妹、本当バランスが取れているというかなんというか。

「ナノハさんが眠っている間に、皆さんで今後の方針を決めました」
「それで?」
「明日にでもスカリエッティの元へ奇襲をかけます」
「奇襲…」
「多分、詳しくは博士が説明してくれると思います。さっき、ナノハさんが目が覚めたのを部屋のモニターで確認して、『ちゃんと説明しないとな』って 言ってましたから」
「そっか、ありがとう」
「いえ」

なるほど。
もうグランツ博士も、ますいって感じていたのかもしれない。
フェイトちゃんがスカリエッティの手に移ってしまった以上、いつ、何が起こってもおかしくないんだから。
1週間は大丈夫、なんていっても、実際にその一週間何も起こらないなんて保障はない。
なら、事が起こる前に、フェイトちゃんを取り戻さなくてはならないんだ。

すべては…明日か…。
とは言っても、もう今から数時間後の話。
私にしては随分眠ってしまったみたい。

明日…。
その言葉が、酷く私の胸の中を刺激していく。
思い出のアルバムの中で、一番大切なページを見つけた瞬間のように。

一日一日が当たり前のように過ぎていってたから、明日があるっていう
大切さに今の今まで気づかなかったかも…。
そう、全てが当たり前すぎたんだ。
そんなもの、ありはしないのに。

私にとっては、きっと明日が…―――。

でも、今私にはまだ時間がある。
『明日』が来る前にできることがある。
だったら、できることは全部やってしまおう。
後悔なんかしたくないから。

「あの…」
「はい?」
「シグナムさんを呼んできてくれる?」
「シグナムさんですか?」
「ちょっと二人だけで話したいことがあるんだ」
「はぁ…、判りました」

二人はちょっと首を傾げながら、私の部屋を後にした。
残された私は、ふとテーブルに置かれてあるリボンを手に取る。

あの屋敷で、長い髪が邪魔だろうと結ってくれた。
フェイトちゃんが私にくれたリボン。
私とフェイトちゃんを繋いでくれたのも、このリボンの存在だったのかも。
そして、きっと…これからも、私達を繋いでくれるモノ。

「泣かないで、ね?」

身勝手にも、そんなことを呟いて、ぎゅっとリボンを一度胸に抱き締める。
私の心を埋め込むように。

あのコの事だから、きっと顔をくしゃくしゃにして涙を零すだろう。
でも…―――その時、私は…。
だからせめて、今この瞬間、強く祈る。





フェイトちゃんが幸せになるんだったら、私はなんだってするよ、と。






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  1. 2017/04/08(土) 00:00:00|
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