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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界56








用意された部屋は、まるでそこだけ別の空間だった。
昔、絵本で見たような、そんな部屋。

シャンデリアに近いぐらい大きなガラス製の電気に、ふかふかのベッド。
緑色の絨毯は歩くだけで足跡が出来てしまうくらい弾力性があるし…。
一昨日通されて中を見た瞬間、しばらく意識がどっかにいっちゃったぐらい。

居心地が悪いなんていうもんじゃなくて…なんていうか、そう…
『お掃除に来ました』って言って、絨毯に掃除機をかけたい気分。
とにかく、今の私は…とても浮いているように見える…
そんな凄い部屋。

スカリエッティと一緒にやってきて、生活を始めて2日目。
なんだかとても、彼は忙しいらしくて、ここに来てからまだ一度も逢えない。
その代わりに、私にあれこれと良くしてくれるのはノーヴェにウェンディ。

初めて二人に逢ったのは、少し前。
あの時は怖い印象というより、少し間抜けというかなんというか…。
でも、そんな二人に少し救われているのも事実。
ウェブディはダジャレが好きだし、ノーヴェもしっかりしているようで、実はおっちょこちょいだったり。

昨日の朝食の時なんて、ウェンディってば…
食材をテーマにダジャレを言い出す始末。
呆気にとられた私に、続けざまに…連発。
ムキになって笑わそうとしてたっけ。

とりあえず…「星2つ」って答えたら「トホホ」って、落ち込んでいた。
なんだか、落ち込んだ姿のほうが面白かった気がする…っていうのは内緒。

ノーヴェはそんなウェンディを見て馬鹿にしていたんだけど、
食べながら喋るなっていうのはまさにこのことだよね。
盛大にむせて、よほど苦しかったのかのた打ち回ってて
爆笑してしまったんだよね。

とてもみんな良くしてくれて…少しずつだけど、私も元気になってきた気がする。
訓練だって、そんな二人が一緒にやってくれるから楽しいし。
きっと…ちょっとは力が制御できていると思う。

でも、気がかりな事が一つ…。


「そろそろ訓練するっス」
「うん…っ」


今日もまた、部屋に二人がやってきて笑顔で挨拶。
そして…


「じゃあ、はい、これ」
「うん…」


差し出した手の平に落とされたのは、お水の入ったコップと小さなカプセル。
訓練の前には必ず飲んでる薬。
二人が言うには、これは心が暴走しないようにするための
『精神安定剤』みたいなものらしい。
でも…なんだか…おかしいんだ。


「…飲んだ?」
「うん」


こくん、と喉を鳴らして奇妙な後味を流すように、水をもう一口。
いつも、二人ともそれを見届けないと動こうとしないんだよね…。
そして、飲んだ後には…いつもの不思議な感覚。


「…うぅ…」
「今日も少し休んでからの方が良いか」
「…10分だけ待ってもらえるかな?」


不安そうに目線を合わせて顔色を確かめてくれる二人に、目を伏せる。

途端に頭がぼーっとするような…眩暈で目の前がチカチカするような…
そんなのが全身にダルさと一緒に襲いかかってきて。

しっかりしなきゃ、と思って頭を振って耐える。
いつも5分ぐらいで楽になるんだけど、それまでは凄く苦しいんだ。
それから波が去ると、決まって2人から、二、三質問される。
今日もまた…


「グランツ研究所では、どうだった?」
「いい人達ばかりだったよ…、みんな良くしてくれて」
「例えばどんな人?」
「えーと…」


例えば………―――誰がいた?
あれ…? 誰がいたんだっけ…グランツ研究所には…?
誰が私に良くしてくれたんだっけ…?
ここのところ、よく……思い出せない…。


「じゃあ、質問変更。誰か好きな人とかは?」
「す、好きな人っ?」
「おっ、いたんっすね? 誰、誰?」
「そ、そんな、誰って…」


綺麗なストレートロングのさらさらした髪を一つに結って…整った輪郭。
端正な顔立ちが笑顔になると、とっても優しくなって…。
どんなときでも、傍にいてくれた人。


…あれ?


―――…ちょっと待って…。
そこまで思い出せるのに、…どうして名前が出てこない…?
誰だった?

私が強く想っていた人で…、その人も私を想ってくれてた。
それなのに私は…、そう、その繊細な心と身体を傷つけてしまって…。

あの腕のぬくもり…。
優しい眼差し…。
心地よい声…。

そう…―――あの人は…。


「…ナノハ」
「ナノハ…?」
「あ…、その…、今となっては、きっと一方的に私が想ってるだけなんだろうけど…」
「まだ、覚えて…るんだ?」
「え?」
「なんでもない。それじゃあ、顔色もよくなってきたし、そろそろ今日の訓練始め!」
「あっ、うん、お願いします」


なんだろう…?
一瞬、二人も苦しそうな表情で私を見てた。
ナノハの名前を出した、あの瞬間。
何か…まずいことでも言っちゃったのかな…?

でもその後、二人いつもの陽気さで私に訓練を施してくれたんだ。
私も、丁寧に教えてくれる能力を必死に覚えようとしていた。
だから…、ちゃんと気づかなかったのかもしれない。








―――…自分の記憶が、だんだんと曖昧になってきていることに。







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  1. 2017/04/01(土) 00:00:00|
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