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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界55









―ザフィーラに、後着けてもらったんよ。

下手に刺激するのは良くないからと、はやてちゃんは付け加えて言った。
どこかやりきれない表情のはやてちゃんに対し、
私はぶっきらぼうに、ずぶ濡れのマントを羽織直す。
一秒でも早く、駆け出せるように。

だけど、聞こえてきた声は、今の私には苛立たしいほど、冷静なザフィーラの声。
その内容は…心底切羽詰ったモノだった。

『彼女は、スカリエッティの手をとって一緒に消えた』

…――今、なん…て…?

目の前が真っ暗になって、一歩踏み出そうとした足が自然と止まる。
まだ癒えない傷痕が、ジンジンと脈打って、この状況が現実なんだと痛いほど私に判らせる。
そして…降り注ぐ雨は、ただ呆然とする私をあざ笑うかのように雨脚を強めていた。

「………ありがとう、ザフィーラ」

まだ何かを喋っているみたいだったけど、遮るように、私は会話を絶つ。

…フェイトちゃんが…スカリエッティの手をとった?
なんで…? なんで、フェイトちゃんはスカリエッティの手を取った…?
私の手を振り払って、どうして…?

目覚めたとき…、握っていたはずの手は、どこにもなかった。
ベッドの上にも、その姿はなくって。
慌てて館内を探したけど、どこにもいなくって。
私はみんなが止める手を振り払って無我夢中で駆け出したんだ。

あのコは、絶対一人で泣いてるって思ったから。
大きな目を真っ赤に腫らして、人のせいにできることも、全部自分で背負い込んで。
私が行ってあげなきゃって…思ったから。だから。

治りきらない傷が痛み、思うように走れなかった。
畳み掛けるように雨が降り出して、私の動きを拘束していって…。
森の方へに向かおうとした時に。
…姿を現したのはザフィーラだった。

…すべてが後手後手になってしまっていたんだ。

「…ハッ」

クックッ、とワケもなく、思わず笑いがこみ上げてくる。

なんて体たらく。
この皮肉はなに?
すべてがまったく制御できない、この現実。
全身が萎えるような虚脱感と、打ちひしがれるような無力感が、
私の心身を蝕んでいくのが判る。

…もう、私には、なにもかもがわからなくなりはじめていた。

フェイトちゃんは私が好き。
私もフェイトちゃんが好き。
だったら何故、フェイトちゃんは私から離れた?
私がフェイトちゃんを恐れたから。
好きなのに?
それとも、もう、嫌い?

誰か教えてよ…?
私は今、どうすればいい…?


「ナノハちゃん!!」
「……。あぁ…、何?はやてちゃん…」
「――顔。」
「何…?」
「凄く…怖い顔して笑ってるから…」

見ると、はやてちゃんもザフィーラも息を飲んで私を凝視してしまっている。
私、笑ってるんだ?
言われて初めて気づいた。

いち早く心を読んで私の変化に感づいたのは、やっぱりはやてちゃん。
みるみるうちに、眉間にしわが寄って愕然とした。

「ナノハちゃん…! と、とにかく一度研究所に戻ろう…っ?」
「落ち着け。 お前は何も悪くない!」

……私は、何も悪くない?
本当に? そうかな?
もしかしたら、私、とんでもなく悪いコトをしたんじゃない?

「ナノハちゃん…?」

ねぇ、はやてちゃん、教えて?
私は本当に悪くないの?
フェイトちゃんを恐れた私は、悪くない?
手を離してしまった私は、悪くない?
こうやって、フェイトちゃんを見つけられなかった私は悪くない?
ううん、私達は。
自分を、このまま正当化する私達は、悪くないの!?

「ナノハちゃん…! 大丈夫や、落ち着き!!」

焦るはやてちゃん。
それを見て、私は、ハッと我に返った。

なにやってんだろう、私。
これって完全な八つ当たりだ…。

「…ごめん。」
「ええよ…。ナノハちゃんが辛いの…判ってるから…。とにかく戻ろう?」

無理して私に笑ってみせるはやてちゃん。
その優しさが、今は少し…ありがたかった。
心が…ラクになったかもしれない。

そう…、間違ったことをしたら、『ごめんなさい』と謝る。
それに気づけたから。

「博士に聞いたんやけど、フェイトちゃんが手に入ったからって、すぐに何かをしようってわけじゃないみたいやよ」
「? どういうこと?」
「力を持つもの、は少なくとも自分の意思で力をだす。フェイトちゃんだって一緒。つまり、自我がある限り世界を壊すとか、そんな大それたことはできないってコトやね」
「というコトは…」
「そう。スカリエッティはフェイトちゃんの自我を崩壊させて、その能力だけを利用しようとしてるんちゃうか?」
「そんな無茶な…」
「無茶やと思う? 能力者を作り出してしまうほどの科学者やで?」

ぐうの音もでない。
スカリエッティが一体フェイトちゃんの力で何をしようとしているのかは判らない。
でも、自我を壊すだなんて…そこまでして手に入れたいものってなんなの…?

「博士の計算では、少なくとも一週間はかかるらしいから…とりあえず体制を整えるべきやね…」
「判った…。二人は戻って、このコト伝えて」
「え? ナノハちゃんは? …まさか」
「うん、乗り込んでみるよ」
「ちょっ、何言ってんの! 一人じゃムリに決まってるやろ!? それにその傷! 全然治ってないやんか!」
「でも行かなきゃ」
「ナノハちゃん、気持ちは判るけど、今は戻ろう?」

はやてちゃんは、必死に止めるように訴えかけてくる。
でも、今この瞬間も、フェイトちゃんがどんな目にあってるか考えると気が狂いそうなんだ。

行かなきゃ。
行って、あのコに伝えるんだ。


「ごめん、私行くよ」

制止を振り切って、背を向けた瞬間。

「!?」
「おやすみなさーい」

ガスッ!

「っ!? …な…に……?」

目の前に笑顔のキリエが立っていた。その後ろにアミタさんを連れて。
それから強い衝撃が全身に襲い掛かって…。
私は、そこで気を失ったんだ。







自分が、駆けつけたキリエから、みぞおちにキツイ一発を喰らったんだと
認識できたのは、それから二日後のベッドの上だった。








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  1. 2017/03/25(土) 00:00:00|
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