Posing

初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

行キ着ク果テノ世界53








「!? 誰?」

いきなりの声に驚いたその人は私の方へと視線を向ける。

「まぁ、待ちたまえ。まずはこの状況を整理するのが先だろう?」

コツコツと硬い音を響かせながら近づいてきたその人を見て、
狼たちは固まる。

誰だろう…?
その目はどこまでも鋭くて…気圧されてしまいそう。
心当たりがないわけではない。
だって、私目的だなんて、行き着く人物は一人だ。


「グ、グルルルルッ…。」
「おや?反抗的な子達だ。まだ刃向かうのかね?」
「クーン…」


いきなりの出来事に、状況把握が出来なかった倒れた仲間を背に威嚇する狼たち。
けれど、これ以上は無駄だと悟ったのか、仲間を連れて逃げ出していった。
残された私は、疲れと恐怖で動けずに居た。

「さて…」
「私をどうする気?」

近づいてしゃがみこんできたその人に、敵意を向けて問いかける。
けれど、一切動じることなく、彼は鼻で笑い一蹴した。


「ふむ。素晴らしいのは能力だけか?助けた相手に礼も言えないとは、常識力に関しては欠如していると思うが。」
「え…?」

言われて、思わずうつむいてしまった。
だってその通りなんだから。
敵だとは思うけど、実際彼から直接何かされたわけではないし、現に今助けて貰ったのは事実なんだから。

「えっと…その、ありがとう」
「あのヴァンパイアは一緒じゃないのかね?」
「えっ?」
「ヴァンパイアだよ。」

何もいえなかった。
ふいに思い出されるナノハの顔。
情けない気持ちに拍車がかかる。

「…何か、ワケありかね?」
「……いや、元々の原因はあなたたちが…」
「私が何かしたとでも?君の能力は君自身の問題だろう。」
「それは…!で、改めて聞くけど私をどうする気?」
「……どうもしないさ。ここには別件で訪れただけだ。」
「……はっ?」

意味が分からない。
だってそうでしょ?目の前にお目当ての物があるんだよ。
それを持ち帰らないなんて、動物だってきっと飛びかかって手に入れるはずなのに。


「じゃあどうして私を助けたの?別件で訪れた今、私に用は…」
「いずれ手に入れる物をみすみす失うなんて馬鹿なこと、誰がすると言うんだね?」


ますます意味が分からない。
今まで幾度となく襲いかかってきたくせに、自分からは直接手を出さないって事?
研究者脳ってやつなんだろうか?それともただの悪趣味?

困惑する私をよそに、スカリエッティは元来た道を歩き出していた。
『慌てなくても、いずれ私の物になる』なんて、意味深な言葉を残して。

それから私も、彼に背中を向けて歩き出してしばらくたった頃、私の頭上に冷たいものが
パラパラと降り始めたんだ。

涙雨…なんて言葉を聞いたことがある。
もしそうなら、私の中から全ての悲しみを流し去って欲しい。
自分勝手に、そんな事を考えていたっけ…。






*********






雨はそれからも止む気配もなく、どんどん強くなっていた。
薄闇の中、ただ、冷たい水滴が吹き降ろしてくる。
まるで私を責め立てるように。

そんな中、のろのろとした足取りで歩く。
なんで私はこんなことしてるんだろう…?

今からでも研究所に戻って「ごめんなさい」と一言いえば、それで済むかもしれないのに。
でも…、「ごめんなさい」といえない何かがあるんだ。
そう…もう「ごめんなさい」だけで、元に戻らないものがあることを知ってしまったから。

「あ…」

ふと気づいて顔をあげる。
そこには見知った屋敷が一軒。
いつのまに、ここまで来てしまっていたんだろう?

「…ここ…ナノハの…」

一体どれだけの距離を走り、歩いたのか。
目の前には古ぼけた屋敷が一件。
それは、ナノハが私と出会うまでずっと暮らしていた……


フラフラと歩きかけて、…止まる。


ナノハの思い出が詰まった。
ナノハと…アリシアとの思い出が詰まった。


「馬鹿だなぁ…私」

ぱちぱちと瞬きをして涙をごまかし、私は力なく笑った。

「少しくらい…私だって…」

この涙は雨のせい。
この涙は雨のせい。
そう言い聞かせて、私また…歩き出す。
ひとりぼっちで。
ううん、ひとりぼっちと…思い込んで。






でも…どうか少しくらい…。






スポンサーサイト
  1. 2017/03/11(土) 00:00:00|
  2. 行キ着ク果テノ世界
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<行キ着ク果テノ世界54 | ホーム | 行キ着ク果テノ世界52>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://g1n2m3.blog.fc2.com/tb.php/330-cba10c0f
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

M2(エムツー)

Author:M2(エムツー)
色んな方にアドバイス頂き、書かせていただいています。
亀更新の割に中身が薄かったり、短かったりしますがご了承ください。

当サイトはリンクフリーですが、一言リンクしたことをお知らせいただけたら嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

Night of a new crescent (53)
私達は愛を知らない (32)
行キ着ク果テノ世界 (66)
アレルヤ (37)
中編(アリシア&なのは) (13)
短編 (16)
リクエスト (11)
お返事 (39)
雑記 (70)
未分類 (1)

アクセスカウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。