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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界51








「ぅ…っ?」

くらくらする頭を振りながら、私はゆっくりと瞼を開いた。
その視界に映ったのは、真っ暗闇。
え…? ここは、どこ…?
もう一度目を閉じて…開いてみたその瞬間、

「ウーノ姉様は…やられてしまったかしらね」
「えっ!?」

バン、と勢いよく開かれた目の前の扉。
そう、私は、どこかの部屋に寝かされていたんだ。

どういうこと? どうして私はここにいるの…?
私は研究所にいて…眠っていて…
…っ!
そうだ! 突然誰かが部屋に入ってきて、抵抗しているうちに…気が遠くなって…っ!

つ、連れ去られたんだ!

「あら? 目が覚めたの?」
「っ! お、お前は…っ」

私に気づいた目の前の人が顔を覗き込んでくる。
それはあの時、私とナノハを襲った…。

ぐっと自分の胸元を押さえて後ずさる。

「心配しなくても、危害を加えようなんて思っていないわ。ただ、博士の所に連れて行くだけ。」

博士…? グランツ博士と一緒に研究をしていた人。
スカリエッティ…?

「でもまさかこんな子が、私達を救う存在だったなんてね」
「救う? どういうこと?」
「あら?知らないの? 自分の能力を。覚醒はしたんでしょ?」
「私の…能力? 生命に対して手伝いを…」
「は? 違うわよ」

違う…? でもグランツ博士はそう言ってた。
何だろう…、胸がモヤモヤする。
私の知らない何かがある?
もしかして…嘘を…つかれてる…?


「この世に存在する全てのものを扱える力」
「…え…?」
「素粒子って知ってる? 全てを作り出している目には見えない物質。それを扱えるのがあなた」
「何言って…」
「要は、この地球を壊しちゃう事も、キモチ一つでできちゃうってことね」
「そんな…」

そんな力…知らない。
私、そんなの使えない…

「とにかく、一緒に来てもらうわ。ウーノ姉様が足止めしてくれてる今しかチャンスはないんだから」

ぐっと腕を掴まれて、私はハっと我にかえる。
とにかく今は、ここから出なきゃ…!
それからでも私の力の事を知るのは遅くないはずだから。

「やめろっ」
「くっ、い、今更暴れても無駄よ」

ぐいっと、両手を頭上で押さえつける形で押し倒される。

「は、離せっ!」

懸命に手足に力を込める。
それでもクアットロの腕は、びくともしない。
ううん、それ以上の力で私を押さえつけてくる。
もはや人間の力なんてレベルじゃ…

抵抗虚しく、あっけなく組み伏せられる。

まずい…っ、このままだと私、どこかに連れて行かれる…!
怖い…!助けて!
ナノハ…! ナノハ!!

「離せぇぇぇ!!」
「!?」

瞬間、何かが私の中で弾けとんだ。
それはまるで、ぎりぎりに引っ張られていたゴムが指から離れた瞬間のように。
大きく、ばちん、と音を立てて。


「っ! あそこや!!」

はやてちゃんの叫ぶような声に、私は目を向ける。
その先には黒い影が二つ。
間に合った…!

駆け寄ろうとして…、ふいに立ち止まり息を飲んだ。
私も、はやてちゃんも。

なぜなら…――突然目の前が眩い光に包まれて
瞬時に砕け散ったから。
ううん、砕け散ったというより光に溶けたという方が正確かもしれない。
今もまだ粒子を飛び散らせながら、光が金属片を飲み込んでいってるから。

その光の中から現れたのは、両手首を掴まれたフェイトちゃん。


「ふぇ…」
「待って、ナノハちゃん…!」

再び駆け出そうとした私を制したのははやてちゃん。
その目を見開いたまま、フェイトちゃんに視線を向けて固まっている。
…なに?

眉を寄せてはやてちゃんに視線を落とし、もう一度フェイトちゃんに顔を向ける。

…目を疑った。

フェイトちゃんを掴みあげていたクアットロの腕が、指先から光り始め…―――
徐々にその形を失い始めていたんだ。
既に片足は失われていて、さっきの弾けた光はきっと彼女の…

全てを飲み込もうとする力が、そこにあった。

「たっ、助けて!」

クアットロは逃げようと身体をひくけど、光は尚も広がっていく。
ゆっくりと、確実に、その光は腕を消し肩を消し、残りの足を…胴を…そして。

最後に、恐怖に歪んだ顔をそのままに…頭を消し去った。

残されたフェイトちゃんは…形をなくした空間を唖然とした表情で見つめ…
私達に気づいて、視線を向けたんだ。

瞬間、ドクン、と心臓が鳴った。
「フェイトちゃん」と声をかけて、駆け寄りたいのに身体が動かない。
ううん、硬直してしまって息もできないほど…。

今…目の前で何が起こった…?
フェイトちゃんが…したの?
…あんなフェイトちゃん…見たこと…ない。

恐怖に縛られているのか、私の両手に嫌な汗が広がっていく。
私だけじゃない…、隣では同じくはやてちゃんも。

ただ、立ち尽くしている私達の横を、、さわっと、風が駆け抜けていった。






顔をあげて…私は胸を貫くような痛みを感じた。

「あ…ぁ…」

はっきりと目に見える、二人の怖れるような視線。
周りに立ち込めた、絶望とか、恐怖とか、…―――拒絶のオーラ。
もし、本心が言葉として表れたなら、今耳に届いていた言葉はきっと…。

――――化け物。

「ふぇ…、フェイトちゃん、大丈夫か?」

はやて、心配げに笑いながら声をかけてくれてるけど…顔が歪んでるよ。

「とにかく…、中に戻ろう…?」

私に伸ばしかけた手を、一度戻したのは…どうして?


「フェイトちゃん…」

ナノハのそんな表情、初めて見た。
何を考えているのか判らない、でも…恐怖だけは感じ取れる…そんな表情。


「…っ、みんな心配してるんやで? それは本当や…っ、だからっ」

だからさ、はやて…? じゃあ、その目は…なんなの?
私を…警戒しているんでしょ…?
疑問の視線を受けたはやては、何も言えずにうつむいてしまった。


「嘘…ばっかり…」

力なく私は一度笑った。
もう、何がなんだかわかんない…。

私の力は…グランツ博士が教えてくれたものとは全然違った。
みんな…それを知っていたんだよね…?
知っていて…隠していたんだよね…?
どうして? それが優しさだとでもいうの…?
…っ!

……ミンナ、ダイキライ…。

心の中を、止められない黒い液体がじわじわと蝕んでいくのがわかる。
憎しみとか…、悲しみとか…、わからない…っ、わからないけど、全てを
壊してしまいたくなるような…、言い知れない何かが…。

「フェイトちゃん…」

すぐ側に寄ってきたナノハを、私はキッと睨みつける。

ナノハ…、ナノハだって…――私が怖いんでしょう?
優しい目で見つめないで…。 同情なんていらない…!
その目の奥にある感情…、私が気づかないとでも思ってるの?
怖いくせに… 恐れてるくせに!

本当は……好きって言葉も、嘘なんじゃないの!?
あのキスだって…―――

「とにかく、戻ろう…?」

私に向かって広げられるナノハの両手。
でも私は―――、思いっきりその手を振り払った。

「やめて…っ! 私が怖いんでしょ!? 自分達もクアットロみたいに消されてしまうかもしれないって思ってるんでしょ!?」
「フェイトちゃん…!」

瞬間、酷く傷ついた表情に変わるナノハ。
でも、その時の私には気づいてあげられるだけの余裕なんかなくって。
ただ、その表情は哀れんでいるように見えて…。
こみ上げてくる感情を抑え切れなかった。

「私の力って何!? 命の手伝い!? 嘘ばっかり!! 人を消してしまうような能力じゃないか!! 」

嘘、嘘、嘘。
私の周りは嘘ばっかりだ。
何も信じられない…っ!
ナノハだって…!!

「守ろうなんて…本当は思ってくれてないんじゃないの…!?」

感情に翻弄された私は、心の奥に潜んでいた不安をここぞとばかりに吐き出していく。
必死で止める理性を、頭の片隅に感じながらも…――言葉は止まらなかった。

ナノハは一瞬ハっとして何かを言いかけるけど、結局ぐっと口をつぐんで
うな垂れるように首を振った。
それからじっと、私に振り払われた両手を硬く握り締めて見つめている。

「本当は、好きなんて思ってくれてないんでしょ!?」
「…っ!」
「ふぇ、フェイトちゃん! それは違う! ナノハちゃんは本当にフェイトちゃんのことを…!」
「もう、判らない!判らないよ…っ!」
「フェイトちゃん…!」

はやての言葉だって、どこまでが本当?
今の心配する視線は、本当なの!?
判らないよ…!

「フェイトちゃん…私を信じてくれなくてもいい。でも、お願い、自暴自棄にはならないで」

頭を抱え込んだ私に、ナノハはぐっと両手で肩を押さえつけてきた。
その触れられた部分さえも、嫌悪感が広がってくる。
ナノハなのに…。ううん、ナノハだから…。
信じていたから…だから辛くて…、心が押しつぶされそうで…っ。

「やめ…っ! 離して…!」
「離さない! 守れないかもしれない…っ、でも守りたいとは思ってる!」
「嘘…! じゃあなんで私をそんな目で見るの!? 怖いからでしょ!?」
「フェイトちゃん…! くぅっ!?」

荒々しい私の力が発動して、鋭い刃物のような風になってナノハの身体を痛めつけていく。
腕に、頬に、身体に次々と深く浅く赤い線が刻まれて。
苦痛に歪んでいく顔を、ただ私は滲んだ視界でじっと眺めてた。

ほら、離して…っ!
でないとナノハ、死んじゃうよ…!?

「ナノハちゃん! そのままじゃ死んでしまう…!離れるんや!」

巻き込もうとする私の力を避けながら、必死にナノハに呼びかけるはやて。
でも。
ナノハは、低く苦しげに呻きながらも、その手を離そうとしなかった。

「フェイトちゃん…!」

と、その時、はやてが叫んだのがどこかで聞こえた。
それは…私やナノハに投げかけたわけじゃなくて。
ただ、その瞬間自分の首の後ろに何かが刺さる感覚がして…気が遠くなって…。







意識を手放す瞬間まで…ナノハの悲しげな目だけが…映っていた…気が…した。





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  1. 2017/02/25(土) 00:00:00|
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