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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界45








研究室に入ると、みんなが集まっていた。
だけど…この気配の中に…、フェイトちゃんはいない。
当事者を抜いての…大事な話ってワケか…。

室内に設置された大型モニターの前にある、パソコンのキーボードに指を走らせていた
グランツ博士が「やぁ」と軽く手を上げてくる。
その隣で、ちょっと眠そうなキリエが両手を挙げるようなジェスチャーをしてみせた。
『やれやれ』なんて言葉が聞こえてきそう。


「博士、そろいました」


一番奥にある机で、何かのファイルを確認していたアミタが私に気づいて、
こちらに歩み寄ってきた。
私は自然と、近くのテーブルに少し行儀悪く腰掛ける。


「…なんですか? 話って」
「フェイト君の力について話しておこうと思ってね」
「フェイトちゃんの力…」


一瞬脳裏に、昨夜の覚醒した瞬間の映像が流れ込んだ。
同時に、自然と顔が強張っていくのが判る。


強烈な光。
切り刻むような攻撃的な風。
そして…まるで覚醒が合図だったように一斉に開花した桜のつぼみ達。
その核となっている力の正体は一体…何?


「昨日の話を聞いて、フェイト君には生命のお手伝いができる力だと伝えている。弱っている者に対し、頑張れって元気を分けてあげられる力だとね。」
「『と伝えている』? つまりそれって」
「うん、嘘ではない。嘘ではないが…真実でもない」


私が眉をしかめると、隣でモニターを眺めていたキリエがつられたように
博士に視線を向けた。
カタカタと聞こえていたキーボードの音がなくなって、シンと静まり返る。
そんな中、彼は静かに口を開いた。


「恐らくフェイト君の能力は『素粒子を操れる』というモノだろう」


素粒子…?
たしかそれは…。


「素粒子…。物質の最小単位」
「そう。人間を作り出している細胞はもちろん、この世の全ての物体・生体を
作り出す究極的な粒子」


呟いたキリエの言葉の後を次いで、博士は説明した。
そう、素粒子は確か、原子より小さく…「物は何から出来ているか」という問いの
答えとなっているもの。

……ちょっと待って。
全ての物体を作り出している素粒子、裏を返せば素粒子がなくなれば…。
ということは…フェイトちゃんは…、フェイトちゃんの力は。


「…フェイト君のキモチ一つで…、この世界を一瞬でなくしてしまうこともできる」


愕然とした私の表情を見て、彼はそう告げる。


「えっ…っ、そんなの…」
「無理なことではない。素粒子を扱えるということは…素粒子を消すことも可能だからね。
ドミノと同じかな。一つ倒れたら全てが倒れる。誰にも止められない」


私が、言いかけた言葉を飲み込む。
もう、フェイトちゃんに『できない』ことはなにもないんだ、と彼は確信しているんだ。
あぁ…、元々寝起きで働かない頭に衝撃が走って、軽い眩暈を覚えよろけてしまう。


「ナノハちゃん!」
「ナノハさん!!」


いつのまにか、すぐ隣にいたアミタやはやてちゃんが、かろうじて私の腕をとって支えてくれた。

何かの夢でも見てるんじゃないのかな?
一瞬で世界をなくすことが出来るなんて…っ。
フェイトちゃんに、そんな力なんてないよ。
あのコは優しくて、ただ普通に…普通に…。

―――なら、昨日での出来事はなんだったの?
―――開花した桜はなんだった?


「ナノハちゃん…?」


不安げに見つめてくるはやてちゃんに、私は一度苦笑する。
それから、大丈夫だ、というみたいに支えられた手に手を重ねて離れた。

――現実を受け止めろ。覚悟…決めて…――。
こんなことでうろたえてどうする…。
辛いのは私じゃない、あのコだ。
それに幸い、あのコはまだ自分の力を知らない。


「大丈夫…、話、続けてください」
「……わかった」


博士は溜息交じりに頷いて、話を続ける。


「まだ覚醒したばかりだから、力は多かれ少なかれ…心の動きに反応する」
「心の動き…。あ、怒ったりとか、泣いたりとかってことやろか?」
「それだけじゃない。例えば…――人を好きになる、とかもだね」


考え込んで気がついたみたいに問いかけたはやてちゃんに、彼は軽く首を振って答え、
…私に、探るような視線を向けてきた。

その意図、私にだってもうわかる。
私はフェイトちゃんが好き。フェイトちゃんも、私が好きだといってくれた。
それは間違いなく、力に影響を与える…ココロの動き。


「今はまだ、安定もしていない。そんな状況で力の制御に、恋愛に…、両立なんか
できるワケがない」


暗にそれは『今はフェイトちゃんとの付き合い方を間違えるな』と言ってるようなものだった。
ムキになって反抗するほど、私も子供じゃない。
わかってる。
今は、その能力を誤った方向に向かないように指し示さなきゃならないんだよね?


「…私は、フェイトちゃんの力が暴走しないように傍にいればいいんですね」
「………そういうことだ」


間違えるなよ?
鋭い視線が、もう一度私をとらえて…離れた。


「朝になったら、早速フェイト君には訓練に入ってもらう。大げさないい方だが、心についてのレクチャーってやつだね。はやて君、任せていいかい?」
「高くつきますよ?」
「もちろんお礼はするさ。どうかな?」
「乗った!」

まったく。
どんな時でもはやてちゃんは変わらない。
その明るさが、今は救いだけど。


「あぁ…それと…」


そこでまた厳しい顔つきに変わる彼。
くるっ、と私達を全員見渡して…。
そして、告げた。


「そろそろ、向こうも動き出す頃だと思う。…どんなときでも、油断だけはしないように」


この時ばかりは、誰も声を出せなかった。
ただ…来るべき時が、近いんだってことだけが…全員のココロに浮かんで消えたと思う。
もちろん、私のココロにも。


「ナノハ君。」
「はい?」
「昨日、聞きそびれたことが一点あったんだがいいかね?」


言って彼は、再び私に向き直った。





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  1. 2017/01/14(土) 00:00:00|
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