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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界32






夜の街。
路地裏に、その雨で濡れてしまわないように。
その外気に晒されないように。
ゆっくりと、自分のマントでくるんだ赤ん坊を地面に置いた。


「…? うー…?」
「ごめんね。」


そう話すナノハの声色は、いつものナノハだった。
けれど、身体が不気味なくらい熱を持つ。
ぐにゃりと視界が歪む。


「ありがとう。人間にも、私に笑顔を向けてくれることがわかって、嬉しかったよ。」
「あー?」
「にゃはは…でも、今回はちょっとキツイなぁ…。」


言って立ち上がるナノハはフラフラで、腕や背がズキズキと痛む。
うまく翼が扱えず、鈍痛が響く。
もしかしたら、男達に投薬された薬の影響かもしれない。


「アリシアっ!!どこにいるの!!アリシア!!」

遠くで女性の声が聞こえる。
きっと、この赤ん坊の母親か何かだろう。


「よかった・・・お母さんは無事だったんだね。」
「あー」
「・・・・・・・・・ごめんね。もしかしたら私のせいで、あなたの大切な人がいなくなったかもしれない。」
「うー?」
「・・・お家も壊れちゃったよね。お引っ越し・・・かな?」


沈痛な想いで赤ん坊を見つめるナノハ。
ふと、指先にわずかなぬくもりが宿った。


「・・・・・・汚れちゃうよ?」
「うーうー!あー!」
「・・・ありがとう。」


血がついたナノハの指を、赤ん坊は何の躊躇いもなく握った。

大丈夫だよ。

まるでわかっているからと言わんばかりのほほえみと共に。


「さようなら、元気でね。」
「あーあー」


走り出すナノハ。
すこしでも遠くへ、あの子が見つからない様に。
どうか、幸せにって、切ないくらい、でも…腹が立つくらいナノハの心が私に伝わる。


この状況で、どうして自分をないがしろにするんだろう。
人間に散々な目に合わされて、ボロボロで。
なのに、人間の子を助けようと、ただ必死に路地裏を走り続けるナノハ。


荒い息。
全身の筋肉が悲鳴を上げている。
でも、足は止まらない。


「ハァ…ッ! ハァ…ッ!」


そうやってどれくらい走っていたんだろう…。
一つの暗い道に入ったところで…ナノハはうな垂れるようにその場に倒れこんだ。


(ナノハ…っ!!)


うつぶせたナノハから届く心が、今の私には手に取るように判る。


悲しみ…恐れ…そして、ほんの少しの喜び。


裏切られて、恐れられて、そんな絶望下で向けられた微笑み


でも…確実に追っ手達はナノハにたどり着こうとしているのは私にだって判る。
時々近くで聞こえる足音がその証拠。
もし今そのやつらが、こんな状態のナノハに出会ったら…。
そう思うと、頭が熱くなって…感じられないはずの汗がこみ上げてきた。


(ナノハ…っ!逃げるんだ…!お願い、走って!!)


必死に呼びかけるけど、ナノハにはやっぱり届かない。
ただ、その場にうずくまって頭を抱え込むだけ。


「…もう無理だって思ったのに…いっそすべての人間が敵意を向けてくれれば…私は…何!? どうしたらいい!? わからない…っ!!」


(ナノハ…っ!)


「誰か…!」


『――――助けて』


続けられるはずだった言葉は声にならなくて、私のいる心の中だけで大きく鳴り響いた。 悲痛な叫びのように…。

こんなにも…近くにいるのに…っ!
どうして私は何もできないんだ!?
こんなにも…っ、ナノハが苦しんでいるのに…!


「…見つけたぞ、315番…!」
「!」


背後で聞こえた声に、ナノハはハっとして振り返る。
同時に、私の視界にも相手がうつる。
一人じゃない、何人もの人。

その全ての人が、手に武器を握り締めていた。
雨に打たれて反射したその冷たい輝きが…余計に恐怖感をたたせてる…。


「ぁ…ぁ…」
「全く、大人しく人間の道具として働けばいいものを」
「ぅ…あ…」


ガタガタと震える私とナノハの身体。
ナノハが…――怯えているんだ。


(やめろ…っ、ナノハを苦しめるな…!)


聞こえるわけがない。
届くわけがない。
でも叫ばずにはいられなかった。

ナノハを―――守りたかったから…っ


「薬の副作用がでてますね…。今なら殺せます」
「そのようだな…。所詮はできそこないの化け物か…」


(ひどい…! お前たち達のせいでナノハは…っ!)


「どうして…殺すの…?」
「当たり前だろ、こっちが殺されちゃたまったもんじゃない」
「私はそんなことしない!!」
「そんな言葉、誰が信じるもんか」


ナノハの問いにも、口元を歪めて嫌な笑みを浮かべてる。
それが…凄く腹立たしかった。
ゆるせなかった…っ。


「私は…ただ……」


(違う…っ! そんなことない!! ナノハはそんなことしない…!!)


「私は…人間と……」


繰り返される言葉。
でも…、

「私は…」

そこには…

「違う……っ」


――必死なナノハ感情が、あった。
人間以上の温かみを持った感情。
それが…私が知ってるナノハと重なっていく。

気がついたら、私はナノハと一緒に言葉を発していた。


(ナノハは…違う…!)
「私は…違う…!」


ヨロヨロと立ち上がる『私達』。
しっかりと、全身に精気を宿らせながら。

「違わないさ、お前は人間とは相いれない存在。そして…ここで死ぬんだ」


ジャキ、と鈍い音を立てて向けられるたくさんの武器。
それを、『私達』は鋭く見据える。


(ナノハは、そんなのじゃない…!)
「私は、そんなのじゃない…!」


身体が熱い…。
胸の鼓動が、うるさいぐらい耳に響く。
雨なんて、気にならないぐらいに。

言うんだ…!
今、言うんだ…!
自分の存在を…っ、ナノハと…一緒に…っ!!


(ナノハは…)

「私は…」

「化け物なんかじゃない!!」」


キィィ―――ン!!


瞬間、まばゆい光が『私達』を包み込んだ。
正確には…ナノハの中にいた私を。

あぁ…力が…甦ってくる。
これは…私の身体の感覚。
ただ見ていただけの私じゃない。

ちゃんと…――そこにいる私だ。


「なっ! なんだ…っ!?」


聞こえてきた声に、私は今の状況を思い出す。
そうだ、別に何かが変わったわけじゃない。
危ない状態であることには違いないんだ。

今、私に何ができる?
出来ることなんて、ほとんどないかもしれない。
でも、出来ることがなくても、したいことならあるでしょ?
なら…。


「…ナノハは、お前たちよりずっと、優しくて暖かい心を持っているんだ! 絶対…殺させたりなんかしない!」

私は、ナノハの前で両手を広げた。

ただ―――守りたかったから…。







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  1. 2016/10/08(土) 00:00:00|
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