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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界30








辿り着いた場所は…真っ暗だった――。
きょろきょろと辺りを見渡してみるけど、何にもなくて…。
ただそこには深い深い闇だけが広がっていたんだ。

さっきの博士の言葉を思い出す。
私の意識が正しければここは――ナノハのいる場所のはず…。
それなのに…ここには、ナノハの気配がまるでなくって…。

「ナ、ナノハ…?」

不安になって闇に向かって呼び掛けるけど、返ってくるのは金属で出来てるらしい
部屋の壁に反射してる自分の声。
そんなに広くはない場所だと思うけど…でも無機質な感じが不安を呼んでしまう…。

もしかしたら、ここにはナノハはいないのかもしれない…。
そう思ったその時、

チャリ…

どこかから重い音が聞こえた。
何か鉄のようなものがこすれる音が。

「ナノハ?いるの?」

暗闇に不安が広がっていくけど、私はとりあえず音のした方へと歩きだした。
足元はおぼつかないし、視界も真っ暗だったけど、ただ聞こえた音だけを頼りに…。

チャリ…チャリ…

だんだんと近づいてくるその音。
それは感じられなかった誰かの気配と一緒の所から聞こえて…私の足は自然と早くなってしまっていた。
結果…

「うわ…っ!」

ガタン!

何かに足を取られて、その場に転んでしまったんだ。

「痛…っ。な、何…?」

ぶつけた膝をさすりながら、今つまずいたものに振りかえってみる。

だんだんと暗闇に慣れてきた視界に映ったのは、何か丸い塊。
なんでこんな所に…?

不思議に思いながら恐る恐る触れて…気付く。
この玉…鉄の塊だ。
きっと私なんかがどうやっても持ち上げるのは無理なぐらいの重さ。

…って、あれ…? これ…鎖がついてる…。

そのごつごつした感触は鉄の玉と同じ位、頑丈な作りになっている事を物語ってて…。
でも一体何に繋がってるんだろう…?

手探りで鎖の先を辿っていく。
途中で何か繋ぎのような感触があってそれから私の手が何かに触れた。
柔らかくて微かな温かさのものに。

これは…手…?

徐々に慣れ始めた視界の先のものは確かに手だった。
きゅっと握りしめたその瞬間、


「誰?」
「わっ!?」

すぐ傍で聞こえた声に私は反射的に手を離して身体を引いた。

「ごっ、ごめんっ!私、つい…っ!」

慌てて頭を下げるけど目の前の人は何も言わず、じっと私の方を見ているみたいだった。

「あの…? ……っ!?」

戸惑いながら顔をあげて――すぐ側にいたその姿にびっくりした。

サラサラの栗色の髪。
私が知ってるそれより、幼さが残る顔立ち。
でもその瞳は深い孤独の影が落ちていて…。

―――その濁った瞳に私は見覚えがあったから。
ううん、見間違えるはずがなかった。

「ナ、ナノ…っ」

言いかけて、ハっと気付く。
今の彼女の状況に。

鉄の玉と鎖に拘束された手足。
それは、この部屋の闇から彼女を――ナノハを逃すことを許さない、と宣告しているみたいで…。

一番の衝撃はその首にはめられた、鎖と同じくらい頑丈そうな…――首輪。

…これが…ナノハ…?
どうして、こんな…。

あまりの事に言葉が出ない。
でも、そんな私にナノハは無機質な瞳を向けると、もっと衝撃的な事を告げた。


「アナタ、誰?命令、くれる?今度、誰、殺す?」
「!?」

―――今、なんて言った…?
片言でナノハは、なんて言った…?

「命令、なに?」
「ナノ…ハ…? 冗談…だよね…?」

笑える状況なんかじゃない。
全然そんな状況じゃないのに、私はだらしなく口元に笑みを浮かべてしまっていたんだ。

人間は、表したい感情が限界を超えると…相対する感情を表してしまう…。
そんな言葉を何かの本で読んだことがあるけど…まさにそんな風に。

「アナタ、命令、私、する」

それでもナノハの言葉は繰り返される。
ぜんまいが弾けとんだ―――機械のように。

「誰、殺す?」

さも当然のように言ってくるナノハに、恐怖とか、そんな感情がぐちゃぐちゃになって
溢れかえってくる。
違う…っ、こんなの…こんなのナノハじゃない!!
私の知ってるナノハは…っ!

「命令、なに?」

私が好きなナノハは…っ!

「っ!! ナノハっ!! 目を覚ましてっ!!」

たまらず私は座り込んでいるナノハの両肩を掴んで、その瞳を覗き込んだ。

「ここは…っ! これは、現実なんかじゃないんだっ!こんなナノハはナノハなんかじゃない!!」
「? アナタ、わからない」
「ここはっ! この世界は、過去……」

過去―――。

その言葉が……私の頭に金槌で殴ったような衝撃を与えた。

これが…ナノハの過去…?
こんな暗闇に閉じ込められた世界が?
誰かの命令で、色んな事をしていたのが…?

『殺らなきゃ、殺られる』

いつか聞いたナノハの言葉が、ハッキリと思い出される。
それは…ナノハを捕らえて離さない過去の鎖が苦しめていたから…。

ずっとずっと…ずっと今も苦しんでいた…?

私が知らないところで、いつも苦しんでいた…?

「………水…」
「え…?」

不意に目の前のナノハが呟いて、私は見下ろす形で視線を向ける。
途端に…ポタポタと、ナノハの頬に落ちる――涙。
私は…泣いていたんだ。

「水…、目、零れる、何故?」
「ナノ…ハ…」

心底不思議そうに見上げるナノハ。
私は、その姿に…また涙した。
消せない痛みを、ずっと背負っていたナノハ。
なんにも知らなかった自分。
その上、楽観的にナノハが好きだなんて勝手に想ったりして。
守ってくれるっていう言葉に、喜んだりして…。


「ぅ…っく…っ…ひっく…」


本当に守ってほしかったのは、きっとナノハの方なのに。
ナノハが苦しんでいることにも…私は、

―――気づけなかった…助けられなかった。

私のせいで、ナノハはまた…過去の鎖に囚われてしまったんだ…っ。

「ごめんなさい…ごめんなさい…っ」
「? 水、止ま…らない…」

僅かに…、ナノハの表情に変化があった。
きっと普通の人なら気づかないと思う。
でも私にはわかったんだ。

ナノハの瞳に…何かがチカっと光ったのが。


「水…私、知ってる…、これ…は、涙…」
「ナノハ……?」
「涙…見たくない…。この涙は見たくない…。アナタの涙…は…」


ゆっくりと差し出される右手。
ガチャリと一緒に響く、鎖の音。
でも、私たちにはそんな音は聞こえなかった。

「ナノハ…」
「……見たくない…」

ナノハの手の平が、あと少しで私の頬に触れるという場所に来て…止まる。
ふと見ると…、困惑したみたいなナノハ。
何にかが判らなくて、伸ばされた手を見てハっとする。

ナノハの手は―――渇いた血の色に染まっていたんだ。

「………………」

しばらくして、伸ばされていた手がゆっくりと…拳を作りながら下がっていく。

でも…っ。

「ナノハ…っ」
「!」

私は、その手を両手で包み込んでいたんだ。
この手を離したら…、きっとナノハはナノハでなくなる。
なぜか判らないけど、そう思ったから。

それから自然と、頬へと導く…。

触れて欲しかった。
ナノハが『触れたい』と思ってくれたなら。
だって…目の前の、命令を待っているだけのナノハが初めて見せた行動だから。

「ぁ…」

そっと触れてくれた瞬間、ナノハの瞳と私の瞳が交差した。
なんにも感じられなかった濁った瞳じゃなくて、どこか弱々しいけれど意思を持った瞳が。

「知ってる…ワタシは…知ってる…」
「ナノハ…っ、思い出して…っ」
「アナタを知ってる…」

確かめるように、両手で私の頬を包み込み優しく触れていくナノハ。
でも…、

「う…ッ!」
「ナノハ!?」

突然、顔を歪ませると頭を抱え込んでその場に伏してしまったんだ。
それからナノハは、何かから自分を守るように、ぎゅっと小さく丸くなる。

「あぁぁッ!!」
「ナノハっ!し、しっかりして…っ!どうしたのっ!」

どうしたらいい…っ!?
どうしたら、ナノハの苦しみを和らげてあげられる…っ!?

考えても見つけ出せない答え。
とにかく落ち着かせないと、と思って手を伸ばした次の瞬間。

「あぁぁぁッ!!」
「!?」

鼓膜を振るわせる絶叫。
仰け反る身体。
濁った色に変色する瞳。
そして…

ドンッ!!

「うぁっ!」







突き飛ばされるような衝撃が、全身を襲って…―――視界が真っ白になった。







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  1. 2016/09/24(土) 00:00:00|
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