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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界10








声は、別の場所からした。
そう、ちょうどこの洞穴の入り口付近から。
途端に二人の神経は研ぎ澄まされて、すぐに視線を向ける。

そこにいたのは、2人の女。
一人は穏やかな笑みを浮かべているけど…その目はこちらを捉えて離さない。
そして、もう一人はピンクの髪の子。おどけたみたいに頭の後ろに手を組んでいる。

一瞬で、ナノハは悟った。

――――敵だ。


「…なにか用?」


自然と立ち上がって、手負いだと悟られないよう、守るように彼女の前に立つ。
すると、ピンクの女の方がニヤニヤと笑いながら歩み寄ってきた。


「あなたに用はないのよねー」
「?」
「どちらかと言えば、用があるのは後ろのカワイコちゃん」
「…? 私?」


呼ばれた彼女は、戸惑ったみたいに自分を指差してゆっくり立ち上がった。
ピンクの女は「そうそう♪」なんて言いながら、私をすり抜けようとする。
…けど、自然と私は立ちふさがっていた。
危険だ―――、本能的にそれを感じ取ったから。


「用なら私が聞くよ」
「だーかーらー、あなたには用はないんだってば」
「キリエ」
「わかってるわよー、けどなんかしつこそうだもん、この子」


不機嫌を露にした『キリエ』と呼ばれた女が、後ろに振り返ってもう一人に言う。
やれやれって、困ったように笑いながら近づいてくるその女は、あくまでも温和な空気をくずさない。


「あの、あまり関係ない人を巻き込みたくないんです?判ってくれませんか?」


本当に申し訳なさそうに言うけど、私の中の警告音は消えない。
こんな時の私の勘は、絶対にはずれたりなんかしない。


「悪いけど、私は彼女と森を抜けないといけないんだ。それに私、人間じゃないよ?」
「あら? そうなの?」
「…キリエ」


素っ頓狂な声が聞こえたけど、この際おいておく。


「退いてくれないんですね?」
「そうだね」


困ったみたいに、もう一度笑う女。
その間も、脳内では目まぐるしく私はこの後の展開を計算しはじめる。

…来る? なら、今この状況は不利かもしれない。
相手の力量が読めない上にこちらは手負い、彼女を守りながら戦うなんて…。

…待って。
私が…『守る』?
あの子だって守れなかったじゃないか…彼女を守れるの?


「?アミタ?」


思考を止めたのは、キリエと呼ばれた女の声。
多分、『アミタ』とは後ろの女のことなんだろう。
その呼びかけに、「あぁ」なんて言いながら、笑っていたから。


「なに、笑ってるのよ?」


眉をしかめて問いかけると、「ごめんごめん」って言いながらまた笑った。


「面白いなぁって」
「面白い…?」
「だってあなた、その子を守れるのかって迷ってるんですよね?」
「!?」


言われた言葉に驚いた。
それは今まさに考えていたコトだったから。


「感情を読み取るのは得意な方なんです。まるで人間みたいですよ、ヴァンパイアさん?」
「…っ」
「それだけ丸わかりだと、動作を読むことも造作ありません、あなたは勝てませんよ」
「……。でも、それでも彼女を渡すワケにはいかない」
「どうして?」
「『危険』だと思うから」
「そうですか? じゃあ、訊きますけど…」


言いながら、彼女は一歩前に出て私の後ろに視線を投げかけた。


「その子の名前は『フェイト・テスタロッサ・ハラオウン』なんだって言っても?」
「………えっ?」
「悲劇のテスタロッサ家が生んだ、クローン人間です」


フェイト…テスタロッサ…?
…っ!?
まさか、そんな…っ


振り返ると、沈痛な面持ちで私達を見ている彼女。
それでも私の視線に気づいて、


「ごめんね、ナノハ」


そう言ったんだ。
それだけで、全てを理解する。


――――テスタロッサ。
――――あの子の、クローン。

このコが…?本当に…?


「…研究によって生み出された、クローン人間です。本来生まれるはずのなかった子。その子を守ってあなたになんの得が…」
「守るよ」
「その子が危険な子だと言ってもですか?」
「あなた達に任せたとして、どうにかなるの?」
「そうですね。でも少なくとも、危険の度合いは下がると思うんですが?」


あくまで口調は変わらずに話す女に、思わず歯噛みしてしまう。
多分、その口ぶりから見て後ろには大きな何かがある。
だけど、それでも、この子はあの子に様に、人間の暖かさをくれたから


だから…。


「フェイトちゃん」
「ナノハ?」


ゆっくり振り返って、彼女の名を呼ぶ。
いきなり名前を呼ばれて驚いたのか、フェイトちゃんは瞬きを何回かした。


「私を…信じてくれる?」
「え…?」


単なる私のエゴだ。
守れなかったあの子との約束を…この子で果たそうとしている。


「ちょっとぉ~、私達は無視なワケ?」
「キリエ、いいですから」
「だって…。別に取って食べたりなんかしないのに…」


その声に、フェイトちゃんは困ったみたいに私達を見比べた。
それから、頼りなさげに私の顔を見て…いったんだ。


「騙すつもりはなかったんだ…ただ、私のオリジナルの事を知りたかった。一目で、ナノハが…本に出てきたヴァンパイアなんだってわかった…だから…」
「私はフェイトちゃんを信じるし、フェイトちゃんを守りたい」
「ナノハ…」
「私を、信じてくれる?」


じっとこちらを見つめる眼差し。
それは数瞬で穏やかに変化する。


「当たり前だよ。私だって、ナノハを守りたいし、ナノハを信じるよ」


何故だろう…。
言われた瞬間、凄く力が溢れ返ってくるように感じたんだ。
多分、『勇気が湧く』ってこんな感じ。


「交渉決裂…ですね?」


アミタと呼ばれた女が、残念そうに笑った。
それが、少し寂しそうにも見えた…気がする。
でも、次の瞬間。


「キリエ」

鋭い声が響き渡った。

「はーい」

返事を返した『キリエ』は、一度ペロっと唇を舐めると、一気に私との間合いを詰めてきた。


「!?」
「ヴァンパイアって、強いのかしら?」
「な…っ」


突然の出来事に、私は『キリエ』から突き出された蹴りをかわして、フェイトちゃんの腕をとる。


「ナノハ…っ!」
「私から離れないで。いい?」
「うんっ」


フェイトちゃんは素直に頷くと、私の手を力強く握り返してきた。
この手は…離さない。
自分に言い聞かせて、二人と対峙する。







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  1. 2016/05/07(土) 00:00:00|
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