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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界09






遠のきかけていた意識が脇腹の激痛で戻ってきた。
目を覚ましたナノハは、ぼんやりと薄暗い視界の中にフェイトの顔を見つけて、その無事を確認し安堵した。
不安げにナノハの顔をのぞき込んでいたフェイトが、良かったと泣きそうに声を詰まらせた。


「ごめんね、ナノハ。私のせいで……」
「にゃはは。フェイトちゃんのせいなんかじゃないよ。もう大丈夫だよ。」


口では強がってみせるものの、意識は波のようにゆらりゆらりと定まらない。
きっと血が足りていないのだろう。
ゆっくりと身体を起こすと、じわりと鈍い痛みがナノハの身体を襲った。


「いっ…つぅ・・・。」


思わず震える手で傷口を押さえつける。
フェイトの手当てのおかげで出血は止まっていたけれども、鋭い爪で深く切り裂かれた傷の痛みは熱をもつ。


「ナノハ!まだ動いちゃダメだよ!傷口が開いちゃう!」
「これくらい平気だよ。」


ポタリポタリとこぼれ落ちるのは血ではなく水。
ずぶ濡れになった身体は、容赦無くナノハの体温を奪った。
出血も重なって、今では全身が痺れるような感覚すらある。


「平気なわけないでしょ。顔色だってまだ悪いよ。」
「私、どれくらい寝てた?」
「一日は経ってないよ……ついさっき夜になったところだし。」
「あいつらは?」
「わからない。川に流されたから、そこで私たちのニオイは途切れてるだろうし、もうしばらくは見つからないと思う。」


起きたばかりで霞む目を凝らし、穴の外を見つめ、同時に気配や物音がないか確認する。
夕方と言うより、夜にさしかかっている様子で、どうやら眠っている間に太陽はやりすごしたようだ。
幸い、今すぐ周囲に危険はなさそうである。


「でもまさか、討伐隊じゃなくて狼の群れに襲われちゃうとはねぇ~。」


溜め息とともにつぶやいたナノハの言葉に、フェイトもたまらず頷いた。






*********






気づいたのは、もちろんヴァンパイアであったから。
廃墟と化した屋敷に、もはや未練はなかった。
ナノハ達はすぐに森の奥を進み、山を越えた先の街を目指すことに決めた。
一目散に森を抜け、山へと進んだのは良かったものの、月は沈み、辺りは明るくなりつつあった。
ヴァンパイアであるナノハが活動できるのは、日の光が当たらない場所か夜に限られている。
まだ太陽は顔を出してはいないものの、一度日の光に晒されれば只ではすまない。
ナノハ達が身を隠す場所を求めて道を進めば、少し開けた川がそこにあった。


「ごめんねフェイトちゃん。のんびりしてる暇なんてないのに。」
「仕方ないよ。それよりこの辺りでどこか探そう、ここなら水には困らないしね。」
「私が飛べたら、こんな山なんてすぐ超えられるのに・・・。」


飛べない自分がもどかしい。
背中に生えた一枚の翼にその力はなく、今となっては力を解放して翼を出すこともなくなった。羽ばたくことが出来れば、フェイトをこんな目に遭わすこともなく、あっという間に討伐隊の前から姿くらますことくらい簡単なのに・・・。


落ち込んだナノハが、少し前を歩くフェイトへ目を向けたのはそんなときだった。
フェイトの更に少し前、野ウサギの親子がフェイトの前を横切っていくのが見えた。
更にその先、一瞬ちらりと影がよぎったのだ。
人間の目には捕らえられない一瞬も、ヴァンパイアであるナノハの目は見逃さなかった。


確信を得られなかったのは、夜が終わりを迎え、徐々にナノハの力が弱まっていたからであった。それでもナノハは不審に思い、ふと顔を上げてそして息を止めた。


「危ない!フェイトちゃん……ッ!」


睥睨するオオカミ達の目は、まさに目の前を歩くフェイトに向けられていた。
ナノハはフェイトの元へ走り出す。と同時に、猛烈な疾さで一匹のオオカミが地を蹴りフェイトに迫った。


「ぐぁ……っ!」


突き飛ばしたフェイトを案じる時間はナノハにはなかった。
フェイトを突き飛ばし、入れ代わったナノハの脇腹を、オオカミの爪が引き裂き、激痛にうめきながら転がるナノハを、残りのオオカミ達が見据えた。反撃にと爪を繰り出す間はない。再度の突進にナノハの身体は為す術もなく吹っ飛び、川へと転げ落ちた。


「・・・!!ナノハっ!!!」


意識が朦朧とし、もはや泳ぐことすら出来ないナノハの元へと、フェイトは迷うことなく川へ飛び込んだ。
背後で、餌を取り逃がした悔しさからか、オオカミ達の鳴き声がいくつも聞こえる。


「ナノハっ!手を伸ばすんだ!ナノハっ!!」






ぼんやりとした意識の中、フェイトの姿を見つける。
水の流れに逆らうことなく金の髪が揺らめいて、綺麗だなと思う間もなくナノハの意識はそこで途絶えた。





*********













どんどんと流されていくナノハの手を無我夢中で掴み、川から引き上げたまでは良かったものの、水に濡れて冷たくなった身体と逆に、オオカミに切り裂かれた傷はかなりの熱を持っていた。


「ナノハっ!しっかりして!」
「・・・・・・うぅっ。」


幸いにもオオカミ達が追いかけてきている様子はない。
フェイトはすぐさまナノハを抱きかかえ走り出し、見つけた小さな洞穴へと潜り込んだ。
直ぐにナノハを寝かし、ありったけの治療薬で応急処置を行う。

元々旅の身であったフェイトである。少々怪我をすることもあり、常日頃から薬は持ち歩いていたのだ。
呼吸こそ落ち着いてきたものの、朦朧と浅い眠りに浸っては痛みに目を覚まして呻くことを繰り返すナノハの姿に、フェイトはどうすべきか頭を巡らせた。

手当てを行ううちに、空には太陽があがってしまった。
襲われた場所から距離はあるし、すぐに再びの襲撃を受ける心配はなさそうだが、日の光がある今、ナノハを外へ連れ出すことは出来ない。
ならば、日が沈み次第直ぐにでも移動するしかないが、そのためにもナノハには少しでも回復して貰う必要がある。


そして話は冒頭へ。
目を覚まし、これくらい平気だよと言うナノハ。
強がってはいるものの、途切れ途切れの呼吸や、震える声に、たまらずフェイトは決断した。


「ナノハ、私の血を飲んで。」
「だめ、だよ。」
「ヴァンパイアにとって一番なのは血のはずでしょ?回復の手助けになるはずだよ。」
「わた、しは・・・ふぇいと、ちゃんのこと、すき、だから。」
「私も、ナノハのこと好きだよ。だから、助けたい。」
「え、がお、が・・・みたい。もっと、おはなし、したい。さみしいのは、いや、だよ。」
「それってどういう・・・っ!」


言いかけてフェイトは屋敷での出来事を思い出す。
あの時、吸血を行った男に、ごめんねと謝るナノハの声を、フェイトは聞き逃さなかった。
てっきり、傷つけたことを謝ったものとばかり思っていたが、思い出したのだ。
無表情で立ち尽くす男の姿を。
只忠実になのはの命令を聞いていた男の姿を。


「ナノハ…」
「だいじょうぶ、こんなのすぐに、なおる…から」


額に脂汗を浮かべながら、それでも目の前のヴァンパイアは微笑む。
その苦しそうな笑顔に、寂しそうな笑顔に、フェイトは何も言えなくなってしまった。
重苦しい空気からフェイトを見つめることが出来ず、ナノハは自身の傷口へと目を見やる。


傷の治りが遅いのだ。
どれほど深い傷を負っても、半日経てばある程度傷がふさがり一定の回復を見せる。
しかし、目の前の傷は、出血こそ止まってはいるものの、未だに熱を帯び、ナノハを痛みで苦しめる。


(………人間の血なら、少しだけど飲んだはずなんだけどな)


ほんの少し前、意図した吸血ではなかったが、フェイトを助けるために男の血を摂取したナノハ。
微量とはいえ、他のどんな食物よりも、ヴァンパイアにとっては上々の代物。
ナノハはふと考える。


(…あぁ、そっか…人間の血なんてあの日以来だもんね…)
はるか昔を思い返す-
(無意識に拒否反応でも起こしているのかな?)


我ながら弱くなったものだと苦笑する。
そんなナノハに不思議そうに首を傾げるフェイトだったが………





「見つけた!!」
「「…!?」」





唐突にあげられた声に、緊張が走った。






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  1. 2016/04/30(土) 00:00:00|
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