Posing

初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

行キ着ク果テノ世界06








「ご馳走様。美味しかったよ、フェイトちゃん。」
「よかった。遅くなってごめんね。」


言ってフェイトは果物ナイフを片づける。
あの後、フェイトの姿に喝采を送る街の人達から、あれやこれやと食料を頂いたのだった。
当初は断るフェイトだったが、家族や友人に食べさせてあげればいいと言われ、ナノハの顔を思い浮かべるのに時間はかからなかった。
前が見えないくらいの荷物の量に、初めはナノハもずいぶん驚いてはいたが、事情を説明すればすぐ笑顔になった。


「ううん、大丈夫だよ。でも、夜は危ないから、ここに来るなら夕方には街へ戻るくらいの時間の方がいいと思うんだ。」
「…そうだね。うん、そうするよ。」


優しく、けれど真剣な顔つきで話すナノハに、フェイトはすぐ了承した。
どこか寂しさを含んだ表情に、思わず理由を聞こうか迷ったが、無理に話してもらう必要もなく、何より何かに耐えるようなナノハを見たくはなかった。


「そうだ!今日は食べ物以外に、これ持ってきたんだ!」
「…!それって…。」


言ってフェイトが袋から取り出した斧を見て、ナノハは驚きの声を上げる。


「これならきっと、鎖を外すことが出来ると思うんだ!」


言うが早いがフェイトはナノハの足にまとわりつく、鉄球付の鎖へと目を向け、ほんのわずかしか開くことのできない、けれどもその若干の隙間に斧を近づけ照準を合わせる。


「ふぇ、フェイトちゃん、斧って扱ったことあるの?」
「お兄ちゃんが使ってるの、見たことあるよ。」
「そっか、フェイトちゃんお兄さんがいるんだね…って、ちょっと待って!」
「いくよ!足動かさないでね、せーの!!」
「にゃぁぁぁぁぁ~!!!」






ガキィィィィン!!!!!!






「ナノハ!外れたよ!!」
「あ、あははは…はぁ。」


恐る恐る目を開くと、目の前にはバラバラになった鎖と長いこと見ることのなかった自分の足がそこにあった。
あぁ、どうやら足が無くなったわけではないらしい。


ゆっくりと膝を曲げて自分の方へと引き寄せる。
曲げて、伸ばして、また曲げて…しっかり自分の足を確かめていく。
その後、まったく動かす事の出来なかった足首を、慎重に動かしてみる。


「………っ。」
「ずっと動かしてなかったんだから仕方ないよ。ちょっとごめんね。」


石のように固まった足首はぎこちない動きを見せ、鈍い痛みが走る。
どうしたものかと考えるナノハに、フェイトの手がそっと伸びてきた。
鎖の錆で薄汚れた足を丁寧に拭き、マッサージを行う。
少しほぐれたところで、ゆっくりナノハの足首を回す。


しばらく繰り返すうちに、ほんの少しのぎこちなさは残るものの、痛みはなくなり、クルクルと足首を回せるようになった。


「とりあえずは大丈夫かな?」
「うん、痛くないよ。大丈夫。」
「本当はこっちの方を先に取ってあげたかったんだけど…。」


未だに壁に拘束されたナノハの手にそっと触れる。


「ううん。これが外れただけでも十分だよ。ありがとうね、フェイトちゃん。」


ナノハの笑顔に心が安らいでいくのが自分でもわかる。
フェイトは赤くなった顔を見られたくなくて、入り口傍に置いてある荷物の整理を始めることにした。


「す、少しでも早く元の動きを取り戻せるように、時々は動かしておいてね。」
「うん。」
「は、早く手の方も外せるといいね。」
「うん。」
「ま、街に戻ったら色々調べてみるよ。何か役に立ちそうな道具があるかもしれ…」
「ねぇ、フェイトちゃん。」
「えっ?」
「今日は、ここに泊って行ったら?」
「えぇ!?」


照れ隠しで荷物を片づけることで、ナノハに背を向けていたフェイトだが、背後から予想だにしない言葉が降りかかり、思わずナノハに向き直ってみたものの、フェイトの余りのリアクションに、ナノハまで顔が真っ赤になってしまった。


「いやいや、別に何かしようとかそういうことじゃなくって、いや、そもそもこの恰好じゃなにも出来ないし…ってそうじゃなくて!」
「えっ?…ナノハ?」
「寝心地が良いわけではないんだけど、ここまで野生の生き物が入ってくることはないしね。……夜は…危ないから…。」
「…あっ。」


元々、ここに到着したのが夕方だった。
窓のない地下のこの部屋から、外の様子をうかがい知ることは出来ないが、外が真っ暗であることは容易にわかった。
街からほんの少し歩いた森の中、その奥にひっそり佇むのがこの屋敷である。
ただでさえ夜は危険が多い。そんな中さらに森の中を歩き回るのだから、狼になんて襲われたりしたらシャレにならない。


どことなく不安そうにフェイトの様子を伺うナノハに、フェイトは歩み寄り、そっとナノハの頬を撫でる。


「うん、そうだね。じゃあお言葉に甘えてもいいかな?」
「…!…うん!!」


子供のように嬉しそうなナノハの笑みに、思わずこちらも笑顔になる。
今日のひと騒動のおかげで得た分、食料はまだ有り余っている、明日の朝はそれを二人で食べよう。街へ戻るのはそれからでも構わない。
街に戻ったら一度宿に戻って、それから………。






「おいおい!街のヒーローがどんな奴かと思ったら、こんな所で女飼ってやがるぜ!!」


フェイトの思考は、背後からの不穏な声で遮られた。





スポンサーサイト
  1. 2016/04/09(土) 00:00:00|
  2. 行キ着ク果テノ世界
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<行キ着ク果テノ世界07 | ホーム | 行キ着ク果テノ世界05>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://g1n2m3.blog.fc2.com/tb.php/275-a1e6edd7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

M2(エムツー)

Author:M2(エムツー)
色んな方にアドバイス頂き、書かせていただいています。
亀更新の割に中身が薄かったり、短かったりしますがご了承ください。

当サイトはリンクフリーですが、一言リンクしたことをお知らせいただけたら嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

Night of a new crescent (53)
私達は愛を知らない (32)
行キ着ク果テノ世界 (66)
アレルヤ (37)
中編(アリシア&なのは) (13)
短編 (16)
リクエスト (11)
お返事 (39)
雑記 (70)
未分類 (1)

アクセスカウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。