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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界03






「こんにちは、ナノハ。」
「いらっしゃい。フェイトちゃん。」


あれから、彼女…フェイトちゃんは、ほぼ毎日のようにここに訪れるようになった。
どうやら、あの日持ち帰った翼のおかげで、事態は事無きを得たらしい。
ただ、私を助けるための道具を探してみたものの見つからず、手に入るまで待ってほしいと、わざわざそれだけを伝えに、再び彼女は私の元を訪れた。


まさか来るとは思っていなかった私は、ただ唖然と彼女を見る事しかできなかった。
そんな私をよそに、彼女は


『痛くない?』と、枷や鎖がまとわりつく手足を撫でてくれた。
『綺麗にしよう』と、濡れたタオルで顔や手足を拭いてくれた。
『その体勢じゃ後ろには結べないね』と、ずいぶんと長くなった髪を、サイドに一つにまとめて結ってくれた。


元々、長い間ここにいたんだ。
もはや眠りについていた状態だから、食事を気にすることもなかったし、痛いとか汚いとかよくわからなかったんだけど…。
拘束され続けた手足からは鈍い感覚しか感じず、身体はかなり汚れてしまっていたらしい。


「はい。ナノハ」

言ってフェイトちゃんは千切ったパンを私の口元へと運ぶ。


最初の方は、野兎だったり鼠だったり、何とも言えない食材を持ってきてくれた。
一体彼女の中でヴァンパイアとはどういう生き物なんだろうか…。
どこか恐ろしい気がして、聞けないまま今に至る。
きちんと説明した翌日からは、人間が食べるものと同じものを持ってきてくれるようになった。


その時、血は必要なのかと誰もが思う疑問を投げかけられたりしたんだけど、吸血衝動に関しては、ヴァンパイアでありながらも特になかったりする。
もちろん、血が嫌なわけじゃない。生命力の活性化には最適だし、少し飲んだだけでしばらく食事をする必要はなくなるしね。
ただ、ヴァンパイアに血を吸われた者は、そのヴァンパイアに心を捧げることとなる。私の意思とは関係なくだ。


私の言うことに一切の拒否を示さず、命令には絶対服従となったその人たちに、もはや感情なんてものはなくって…。
そこに温かみなんてものは存在せず、ただただ虚しくなるだけだった。


「ごめんね。こんな物しか用意出来なくて。」
「にゃはは。そんなことないよ、美味しいよフェイトちゃん。」


嘘は言っていない。
実際に衰弱していた私の身体は、ゆっくりとではあるけれど、回復していっている。
それは、紛れもなくフェイトちゃんのおかげである。


「ナノハは、自由になったら何したい?」
「うーん。そうだなぁ…。」


聞かれて思わず考える。
もう長い間生きてきたんだから、今更やりたいことなんて特にありはしない。
でも…そうだね、もし出来るのであれば…。


「フェイトちゃんと一緒に、空を飛びたいな。」


言ってすぐ後悔する。
だって私にはもう、片方の翼しかないわけで、そんな奴が人を抱えて空を…ましてや自分一人でさえ飛び立つことは出来ないだろう。
だけど…


「なんてね。もう飛べもしないのに、何言って…」
「そうか!ナノハは空を飛んだりしていたんだよね!すごいなぁ、景色なんて最高なんでしょ?」
「えっ? あっ…う、うん。」
「大丈夫。ナノハは、きっとまた飛ぶことが出来るよ。その時は、私も一緒に連れて行ってね。」






『私も、空を飛びたい!ねぇ、連れて行ってよ!』
『にゃはは、よーし!どこに行こうか?****ちゃんの好きなところに連れて行ってあげるね!』






あぁ、まただ。
どうして彼女はこうも、あの子のように私の心に入り込んでくるのだろう。


大好きだったあの子は、もういない。
あの子がカッコいいと褒めてくれた翼は、こんなにも朽ちてしまった。
結局私は、最後まであの子を守ることも出来ず、無様に今日も生きている。





もし、あの子がここに居たのなら。
もう一度、空を飛ぶことを、許してくれるだろうか?






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  1. 2016/03/19(土) 00:00:00|
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