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初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

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行キ着ク果テノ世界01






「私の事、殺しに来たの?」


久しぶりに発した声がそれだった。
まだ、喉は自分の仕事を覚えていたらしい。


「……。」
「ねぇ、私の事殺しに来たんじゃないの?」


無言でこちらを見つめる彼女に、再度問う。
狙いが私じゃないとしたら、屋敷の物を盗みにでも来たのだろうか?


「ごめんね。ここにはもう、お金になりそうな物は何もない…と思うんだ。多分。」

断定して言わないのは、私自身分からないから。
もうずっと、この部屋から出てないし…。


「…あっ。いや、私は…。」

綺麗な声だった。
星の様な輝きを放つ金の髪に、瞳なんて、まるで私の好物のそれの様な純粋な色だった。


「キ、キミのこと、ここ、殺しに来たんだ!」
「…そっか。」

言われて思わず笑みが零れる。
ずっと待ってたんだ。私の命を刈り取るのはどんな人だろうって。
この子になら、良いかな。


「だ、だけど!」
「だけど?」
「ここは、キミの屋敷のはずだよね?どうしてキミは、その…」
「地下牢の壁に縫い付けられてるのかって?」


そう、ここは屋敷の地下にある牢屋。
本来ここは、餌である人間を保管しておく場所なんだけど、実はその場所に私が居たりする。
私が屋敷を使い出してからこの部屋を使う事なんてなかったけど、まさか自分で身をもって体験するなんて思いもしなかったな。


壁に取り付けられた枷で、手首は完全に固定され、逃げ出さない様にと足には鎖が巻かれていたりする。ご丁寧に鉄球付きだしね。


「キミは…ヴァンパイアなんだよね?」
「そうだよ。翼見せようか?」

言って、私と視線を合わせるために屈み込んだ彼女に、漆黒の翼を出して見せる。
人間には絶対に存在しない、空を翔ける事のできる翼。
私が、人間ではない事の証。


「街の皆が、ここにヴァンパイアが居るに違いないって。」
「一人で来たの?」
「退治しないと私、皆に…」
「怒られちゃう?」


こくりと頷く彼女を改めて見る。
どうみても大人びては見えるが、二十にも満たないであろう彼女だ。
何かしらの事情があるんだろう。
きっと失敗すれば、怒られる以上の事が待っているに違いない。


「良いよ。」
「えっ?」
「退治した証拠、必要なんでしょ?良いよ。首でもなんでも持って行けば。」
「だ、だけど、それじゃキミは…っ」
「もう十分生きたしね。いい加減この格好にも飽きたし。それに…」


一人は寂しい。
声にはならなかった。

私はヴァンパイアかもしれないけど、人間と生活を共にした事もあったし、何より誰かといっしょに話したりするのが凄く暖かくて大好きだった。


それに、いくらヴァンパイアといえど、分からなくなるくらいここに閉じ込められているんだ。
衰弱だってかなりのもの。


「最期に、誰かの役に立つ事が出来るなら、こんなに嬉しい事はないよ。」
「……キミ、ホントにヴァンパイアなの?」
「にゃはは。だからそう言ってるじゃない」


何かを躊躇うように、問いかけてくる彼女。
あぁ、きっと優しい子なんだね。
あの日から分からないくらいの年月が過ぎたんだもん。
生まれ変わりとかあったりするのかな?

記憶にある、あの子にそっくりだ。


暫しの沈黙の後、彼女はゆっくりと口を開く。






「…わかった。」

言って彼女は持っていた短剣を握り直した。







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  1. 2016/03/05(土) 00:00:00|
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