Posing

初心者が綴る。 初心者ゆえの駄作。 そんな、なのフェイなの。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

私達は愛を知らない29








震えるフェイトさんの声。

なのはさんは多分、驚きのあまり手に持っていたモノを落としたようだ。
「なのはっ、」
フェイトさんが近寄ろうとした瞬間、なのはさんが背を向けて走り出す。
ううん、走り出したんじゃなくて。逃げ出した。


「なのはっ…!!」


もうこれで何度目なんだろう。
なのはさんに背を向けられるのは。
フェイトさんにとっては数え切れないことで、逃げるたびにこうやって追いかけてたのかな。


必死に走って。見失わないように。
玄関を飛び出して、寒い外の空気に触れる。
強く雪が降ってきて、足がうまく進まない。

それでも、視界には逃げるなのはさんと追いかけるフェイトさん。
隣を走るスバルの姿。


「なのはっ!待ってよっ!!」


呼んでも聞こえないけど、フェイトさんの声なら聞こえるんじゃないかなって思った。
この二人に常識なんていらないから。


「なのはっ…!」

強く叫んで、こけそうな勢いでなのはさんの腕を掴んだフェイトさん。


「はぁっ、はぁっ…。もっ、逃げないでよっ…」

乱れる声で、伝えるフェイトさん。

掴まれた腕をくやしそうに見つめて、なのはさんがフェイトさんの足を蹴る。

「いったぁ…」
「“なにしに来たの”」


もう慣れたスバルの通訳。当たり前のようにしてくれる。

「“こんなとこまで追ってこられて迷惑だよ。早く帰って。”」

怒った顔で言うけど、それは本心じゃないと思う。
だって、泣きそうな目をしてる。



「なのは、一緒に帰ろう。」

「“嫌。帰らない。ここにいる。”」
「帰ろう。」

同じ会話をくり返す二人。


ほんとは二人、同じことを思ってるはずなのに上手く伝わらない。

「“私がフェイトちゃんの傍にいてもフェイトちゃんにいいことはない。
 フェイトちゃんは自分の生きたいように生きればいいんだよ。
 歌って、遊んで、恋人作って。
 そうやって過ごせばいい。幸せになればいい。”」

「なんで私の幸せをなのはが決めるの。
 たとえ好きなように歌って遊んで恋人作っても、隣になのはがいなかったら何も幸せじゃないよっ!なのはがいない幸せなんていらない!」


少し、沈黙。
それから、また動き出すなのはの手。


「“私は、もういいよ。
 フェイトちゃんの傍でフェイトちゃんに遠慮しながら生きるなんて嫌だ。
 フェイトちゃんがどれだけいいって言っても私は嫌だ。窮屈なの。
 フェイトちゃんの傍にいると私が私じゃいられない。”」

それは、好きだからなんじゃないですか?
フェイトさんのこと、好きだからそうなるんじゃないですか?



「それでも私はなのはと一緒にいたい。」
「“嫌だ。”」
「なのはと一緒にいたいっ!」
「“嫌。”」


「なのはっ!!」

強く叫んだ声は、広い大地に吸い込まれる。


「私はなのはがいないと幸せになれないっ!なのはがいてくれないと笑えないっ!」
聞きたくない、とでも言うように目を逸らす。


「なのはっ、私のこと見てよっ!逃げないでっ!!」



聞こえない耳を押さえて必死に首を左右に振る。

「なのはっ、聞いて!」
「ぃ、やぁ…」
「なのはっ!!」
「ぃやっ」




「愛してるんだよっ!!」





その言葉は、一瞬だった。





「な、でっ、…なんで、伝わらないのっ…」

手話にする暇もなく、フェイトさんの口から流れ出た想い。
本当の想い。

でも、その言葉はなのはさんに伝わらない。


気が動転してるなのはさんに、フェイトさんの口を読むことはできなかった。
なに?とでも言うように、なのはさんはフェイトさんを見つめる。


本当は、微かにわかったのかもしれない。

フェイトさんの言ったことが。
フェイトさんの声なら、聞こえたのかもしれない。

でも。



「なんでも…ないよ…」


蓋をする。
本当の想いを隠そうとする。

フェイトさんの心の中に残る、姉妹としての絆。
愛してる、だなんて伝えていい相手ではないと。
そうずっと言い聞かせてた相手。
誰よりも愛してるけど、相手は妹だと。そう言い聞かせてきたから。
今更伝えようとなんてしない。

でも、そんなの間違ってる。




「なんでもな…」


「フェイトさんっ!!!」



叫んだ。
誰って。
あたしだ。

自分でも驚くくらいの叫び声にフェイトさんは振り返る。驚いた顔。


「ティア、ナ…?」


「フェイトさんはずるいですよっ!」
「え…」

走って、フェイトさんの元に行く。
ずっと、思ってた。ずっと、言いたかった。

今、言わないと一生後悔する。


「フェイトさんはずるいっ!フェイトさんだけじゃないっ!なのはさんもずるいっ!どうしてそうやって自分の気持ちごまかそうとするんですかっ!?そんなの卑怯っ!フェイトさんはっ、なのはさんの耳が聞こえないのをいいことに伝えなきゃいけないこと、伝えない!なのはさんはっ、自分の耳が聞こえないのをいいことに聞こえる言葉も聞こえないふりをするっ!そんなのずるい!みんな伝えたいこと頑張って伝えてるのに、なにも伝えないフェイトさんもっ、聞こえないふりするなのはさんも…ずるいですよっ!」


あたしの言ってること、伝わりますか?

ねぇ、
だって、ほんとにそうでしょ?

こんなに愛し合ってるくせに。
たくさんの人傷つけて愛し合ってるくせに。


「好きなんでしょ!?愛してるんでしょ!?だったら伝えるべきですっ!言ってくださいよっ!じゃないと、なにも始まりませんよっ!」


泣きたくなんかないのに、泣けてくる。

こんなふうに傷つきながらじゃないとお互いを愛せなかった二人が。苦しくて。
でも、やっぱり幸せになってほしい。

二人には、幸せになってほしい。
どうして、どうして、どうしても。
笑っててほしい。



「ティアナ…」

「フェイトさん。」
スバルが、フェイトさんの名前を呼ぶ。
あたしのすぐ隣に立ってくれるスバル。



「誰も、責めませんよ?フェイトさんがなのはさんに気持ち伝えても、責める人なんていませんよ。だって…、フェイトさんにとってなのはさんは出会った頃から妹なんかじゃなかったじゃないですか。最初から特別な相手だったじゃないですか。あたし、知ってますよ?フェイトさんがたくさん苦しんでたこと。だから、もういいじゃないですか。幸せになってください。フェイトさんの幸せ、みんな願ってるんです。」

「スバル、っ…」



「フェイトさん言いましたっ!」


涙をこらえて、声を出す。

「手話なんか使えなくても、大きく口を開けて、はっきり、ゆっくり話せば伝わるって!あたしにそう言ってくれましたっ!フェイトさんの想いは、手話なんかなくっても伝わりますよ!ちゃんと心から言えば、伝わりますよ。だって誰よりもなのはさんを愛してるんですから…。だから、伝わらないはずないですよっ…!」


他の、誰の声が聞こえなくても。
フェイトさんの声なら。

届きますよ。

なのはさんに、届きます。




「だからっ…、諦めないででくださいっ!」


蓋を、しないで。
「伝わるから!あきらめないで!!」
もう、苦しまないで。



「幸せにっ、なって…!」

お願い。幸せに。



「ティアナっ…スバル…あり、がと…」


“ありがとう”って言う中に、フェイトさんの優しさ。
あたし、その言葉好きですよ。
言うたびにフェイトさんが、強くなっていく気がするから。


「私、伝えるよっ…」


そう、言って。
なのはさんの方を向く体。
なのはさんは不安そうな顔でフェイトさんを見つめる。



「なのは。ずっと、ごめん。頼りなくて、ごめん。」



手話を使わない、フェイトさんの言葉。
でもそれは、ちゃんとなのはさんに伝わってる。



「ずっと、言いたくて。言えないことがあったんだ。」



頑張れ。
頑張れ、フェイトさん。



「ずっと、なのはが好きだった。」

ゆっくり、はっきり。






「愛してる。」




伝えた言葉。



「ぃ、と…」


なのはさんの目に、涙が溢れてくる。


「だから、なのはと一緒にいたい。愛してるから、離れたくない。」


「っ…、ぅっ、ひぃ…」


口を抑えて、必死で涙をこらえる。
こらえ切れない涙が、頬を伝って。

「なのは、一緒に帰ろう?」

雪へと溶けた。


「ふぇっ、…いっ」


涙は雪へと変わり、消えなかった距離が消えていく。

走って、フェイトさんの胸へと飛び込むなのはさんの姿。
涙をまとった、雪の精のようだった。



「なのは、愛してる。」


その言葉だけで、すべてうまくいったのに。
遠回りしすぎた二人。


だけど、もう大丈夫ですよね?
見渡す限り、真っ白なこの世界で。
雪が、二人の足跡を消してしまっても。


二人なら、大丈夫ですよね。
もう、迷わないですよね。


二人なら。

輝く光に、導かれる。
二人なら。







大丈夫。



スポンサーサイト
  1. 2015/11/14(土) 00:00:00|
  2. 私達は愛を知らない
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<私達は愛を知らない30(Extra edition01) | ホーム | 拍手・コメントお返事>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://g1n2m3.blog.fc2.com/tb.php/245-04e23c39
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

M2(エムツー)

Author:M2(エムツー)
色んな方にアドバイス頂き、書かせていただいています。
亀更新の割に中身が薄かったり、短かったりしますがご了承ください。

当サイトはリンクフリーですが、一言リンクしたことをお知らせいただけたら嬉しく思います。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

Night of a new crescent (53)
私達は愛を知らない (32)
行キ着ク果テノ世界 (66)
アレルヤ (37)
中編(アリシア&なのは) (13)
短編 (16)
リクエスト (11)
お返事 (39)
雑記 (70)
未分類 (1)

アクセスカウンター

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。